ハンミョウ

nankai2007-08-28

 8月の後半になるとハンミョウが現れる.日中の道を歩くと数歩先を動いていく.ハンミョウを見ると夏も後半,もうすぐ秋だという感じである.ハンミョウが現れて2週間,今週で夏期講習も終わり.皆さんにとって充実した夏だっただろうか.夏の汗はかならず秋冬に実りをもたらす.今年の夏は演習に07年の問題をたくさん解いた.いろいろと工夫された問題にも出会うことができた.講習の時節が終わり,これからこちらも通信添削用の問題を作らなければならない.

 朝夕の風に秋を感じるようになった.夏の疲れをいやしながら,季節の移ろいを味わってほしい.そういえば,1週間ほど前からあちこちの草むらで,秋の虫が鳴いている.

秋立つ日、よめる
   秋きぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる
                    藤原敏行 古今集百六十九番

 藤原敏行平安時代初期の歌人.「秋立つ日」は立秋のこと.2007年の立秋:2007年8月08日(時刻:06:31 太陽黄経:135度).この日,暦の上では秋がはじまるのだが,残暑はまだ厳しい.この歌は,立秋の日の風にはっとしたと詠われているが実は写生の歌ではない.「立秋の日から風は吹き増さる」という当時の貴族の文学的な常識を前提として、季節の推移を詠んだものだ.それでも私はやはり実際に秋の訪れの風を感じてこの歌を思い出す.だから立秋よりは3週間も後になる.藤原敏行も,立秋の日に,本当に秋の風を感じたかつての経験を思い起こして詠んだのかも知れない.