二月はじめの一日

今日はいろいろ忙しかった.朝の八時から九時まで町内にある公園の掃除.市からの委託を町内会で請け負い,毎月第一日曜日にやっている.「まだ高校三年ですよ」との会話の声.よく聞くと孫の話し.そういう年代の人らやもう少し下のわれわれの世代が20人弱集まって掃除をする.冬は落葉はもう少ないのだが,イノシシが植え込みを掘り起こした後を片付けたりと,何かとすることがある.それから家に戻り一休みして大阪駅前に行った.久しぶりに「生活の党と山本太郎となかまたち」を支援する大阪宣言の会の駅前情宣に参加した.こちらは仕事などと重なりあまり参加できていないのだが,皆はこのような街頭宣伝を神戸,京都,大阪で月に二,三回はやっている.今日は六人ほどの参加者で,ビラ配布と街頭での演説を交互にやってきた.
イスラム国によって後藤さんが殺された.心からご冥福を祈ります.家族のこと思うと言葉もない.その上でいえば,殺したのはイスラム国だ.しかし,イスラム国に後藤さんを殺させたのは,安倍首相であり日本政府だ.責任は安倍首相と政府にある.昨年夏と秋から二人はとらわれていた.日本政府はその救出にまったく無力であった.そして二人がとらわれていることを承知で安倍は中東を訪問し,多額の支援を約束した.有志連合に参加しているヨルダンへの支援は,いかに人道支援と強弁しようと,それは戦争への後方支援であり,日本国が有志連合に参加することと何も変わらない.そして安倍首相はその後イスラエルにいって,ネタニヤフ首相と記者会見を,それもイスラエル国旗の前でおこなった.これは日本政府の態度表明である.安倍はこうして集団自衛権を事実上行使し,日本を現代の戦争に引き込んだのである.
ところが日本の国会は,安倍批判を封印している.それは日本共産党も同じである.「政府が全力で取り組んでいるさなかだ。今あのような形で発信するのは不適切だ」.共産党志位和夫委員長が26日の記者会見で,イスラム国による邦人人質事件について安倍政権を批判した同党の池内さおり衆院議員を批判した.池内氏は25日午前1時35分,ツイッターで「こんなにも許せないと心の底から思った政権はない。『ゴンゴドウダン』などと、壊れたテープレコーダーの様に繰り返し、国の内外で命を軽んじ続ける安倍政権。安倍政権の存続こそ、言語道断。本当に悲しく、やりきれない夜。眠れない」と綴っていた.これは至極当然のまっとうな意見である.池内さおり議員は先日の総選挙で当選した新人議員である.それだけにまっとうな意見をまだもっていたのである.これを志位委員長など党中央は批判した.こうして共産党大政翼賛会の傘下に入った.
事実としてこの安倍政府の戦争政策に反対しているのは「生活の党と山本太郎となかまたち」だけではないか.これではまったく戦前の大政翼賛会と同じではないか.このままでは,有志連合に参加しイスラム国と闘うのに自衛隊を派兵しようということを安倍首相がいいだしたとき,民主党社民党もそして共産党も反対はできないだろう.こんな政治のありかたは基本からかえなければならない.そうではないか.みなの力で日本を戦争に引きずり込む安倍政権を引きずり降ろそう.このようなことを,私も大阪駅前で喋ってきた.寒いのでビラの受け取りはいつもよりよくないが,それでも立ち止まって取りに来る人が幾人もいる.
イスラム国の源流のアルカイダはもともと旧ソ連と闘うアフガンの義勇兵であった.義勇兵といってもそれはアメリカCIAが組織し金も軍事訓練もおこなったアメリカ製のものであった.そして旧ソ連邦が解体.冷戦は終わった.多くの人はこれで平和な時代になると思ったが,平和になることを望まない人たちがいた.それがアメリカ産軍複合体でありその金融部門の国際金融同盟であった.かれらは「イスラム原理主義」を作り,アルカイダを「イスラム原理主義」の部隊として残した.「イスラム原理主義」などという言葉はイスラムの中から出てきた言葉ではない.そしてそれは,結局あの9.11に至ったのだ.戦争状態がこの地上に持続することを望むもの,それがアメリカ産軍複合体と国際金融同盟である.アルカイダから分派してイスラム国ができたことはよく知られている.テレビでもイスラム国の経過を報道しているが,始まりがアメリカCIAにあることまではいわない.
アメリカという国は,誰にも反対できなことを掲げて,その裏で本来の隠された意図を実行しようとする.「原子力の平和利用」といいつつ,核兵器で培った技術で原発を作り,ウラン資源を独占して大儲けをしつつ,核兵器製造能力の独占をはかろうとするものであった.そのあげくの東電核惨事である.そしていま彼らのいう「テロに屈しない」は,実はそれによって戦争状態を維持し,産軍複合体とその金融同盟を存続させようとするものである.無人爆撃機を製造している企業は,この戦争状態からどれだけ稼いでいるのか.その一方でどれだけの民間人が殺されているのか.
このような戦争に日本は参加すべきではない.産軍複合体とその金融同盟の戦争政策はしかし結局のところアメリカを疲弊させた.日本もまた,これと同じ道を歩もうとしている.中東の戦争や混乱は第一次世界大戦第二次世界大戦を経て,西欧の植民地支配が終わるときに,西欧が勝手に引いた境界線や,そこにまき置かれた分断支配のための方策の結果である.アジアの日本にとって,イスラム世界は敵ではない.この原点にたちかえるべきである.
街頭宣伝の後,皆で食事.その後さらになじみのHさんと場所を移していろいろ話した.「今日の演説はえらい迫力あったな.よっぽど安倍に怒っているのや」「安倍のような愚かな人間が歴史を動かしてしまうのだよね」「どうして日本人は安倍に気づかないのだ」「歴史は二度愚かなことをしないと,教訓としては根づかないのではないか」「われわれはまだまだ苦労が足りないのか」等々話した.またこれからのこともいろいろ語りあって,そして別れ,夜六時から三時間授業をして戻ってきた.とにかく体が動いたことに感謝する.
追伸:今日は東京でも「後藤さんの死は安倍首相と日本政府の責任だ」と考える人たちが,官邸前でデモをした.それを伝える田中龍作ジャーナル.今や議会は大政翼賛会である.あの戦争の前夜である.しかし,今は街頭に人々がいる.ここにかつてのあの時代との違いがある.若干あの時代よりは前に出ている!
追伸(6日):今日金曜は京都で授業があり,四条烏丸から京都駅まで歩いた.京都駅の近くまで来ると「再稼働反対」の声.京都駅前の関電支店前で京都の人らの金曜行動であった.槌田劭先生も元気にビラ配布をしておられた.お会いするのは「全原発停止」に書いたとき以来である.