夏期講習終わる

 08年の夏期講習担当分が終わった.終わったときはさすがに少し疲れ,早々に引き上げた。今年はどの講義の参加者も熱心で充実していた.よく勉強したと思う.こちらもいろいろ発見があって楽しかった.12年ぶりに誤植が発見されたというオマケもついた.
 さて明日から,たまっていることごとをこなさなければならない.添削問題作成やテキスト作成は仕事.『解析基礎』の第1章だけでも仕上げたい.等々.こうして季節は秋に.以下,昨年書いたことを再録.

秋立つ日、よめる
   秋きぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる   藤原敏行 古今集百六十九番

 藤原敏行平安時代初期の歌人.「秋立つ日」は立秋のこと.2008年の立秋:2008年8月07日(時刻:12:16 太陽黄経:135度).この日,暦の上では秋がはじまるのだが,残暑はまだ厳しい.この歌は,立秋の日の風にはっとしたと詠われているが実は写生の歌ではない.「立秋の日から風は吹き増さる」という当時の貴族の文学的な常識を前提として、季節の推移を詠んだものだ.それでも私はやはり実際に秋の訪れの風を感じてこの歌を思い出す.だから立秋よりは三週間も後になる.藤原敏行も,立秋の日に,本当に秋の風を感じたかつての経験を思い起こして詠んだのかも知れない.