市民と野党の共同アピール

 3日金曜日,夕方,西宮北口からすぐの広場であった,「市民と野党(5党)の共同アピール」集会に行ってきた.この集会の案内そのもは5月3日にもらっていた。このような野党や関連する人々の取り組みが,日本の各地で行われているのだろう.ここには新社会党緑の党まで主催者になり,知りあいの緑の党の市会議員もスタッフの腕章をしていた.
 この集会の詳しい様子は,うえにリンクしたIWJの録画を観てほしい.100人に満たない集会であったが,地元の関西学院の学生もふくめて,多くの人が語っていた.行ってみると,地元の知りあいの共産党系の夫婦,解放教育運動の昔の教員時代の知りあいの元教師,また別の西宮の市会議員などなど,昔なら同じ所にいるはずのない人らが集まっていて,やあやあとあいさつをかわす.こういう時代になってきたのだと思う.
 日本の安倍政府は,福島の核惨事をまさに利用して,資本主義のゆきづまりをアメリカの指示のもと,ファシズムでのりこえようとしてきた.発売中のサンデー毎日6月12日号には,スノーデンの独占インタビューが掲載されていることを天木さんのブログで知った.その中で,スノーデンは「日本で近年成立した特定秘密保護法は、実は米国がデザインしたものです」と語っている.まさにアメリカの指示である.
 それでも根底にあるのは,アメリカが,崩壊しつつある今日のローマ帝国という,避けることの出来ない客観的事実である.そして崩壊しつつあるこの帝国アメリカに従属し尽くすことしか他に道のない日本の支配層,それに操られた安倍政府である.これに対し,日本の若者から老人まで世代や社会的位置をこえた,反ファシズムの運動が,大きく立ち現れてきた.今はその渦中である.この運動はもとより多くの課題をもち,また選挙を主眼にしていても議会主義の枠の中では収まらないものであるが,しかしまた一歩一歩段階を追わねばならないこともまちがいない.必要な歴史段階を観念で飛ばすことは出来ない.それで,このような新しい運動にには,4月以来何かと多忙であるが,出来るだけ出かけるところへは出て,昔の知りあいたちと議論をするようにしている.
 追記:2冊の本を読んだ.一つは,矢部 宏治著の『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』である.もう一つは,植草一秀・岩上安身・川内博史・木村朗著の『米国が隠す日本の真実〜戦後日本の知られざる暗部を明かす』である.いずれもが,日本の現実を通して今日の世界の実際を暴くものである.5月3日に「今日,唯一拡大しうる分野は兵器産業である.強欲資本主義は戦争で儲けるしかなく,紛争をあおりファシズムに走る.現代世界の紛争はこのファシズムが作りだしたものである.」と書いたが,安倍政治がまさにそのもとでアメリカの最後のあがきに従属追随しようとしていることが事実で以て書かれている.
 客観的な事実として,またどれだけの時間がかかるかは別にして,帝国アメリカは終焉に近づきつつある.帝国は戦争によって解体する.ベトナム戦争イラク戦争,アフガン戦争,この戦争が帝国アメリカの崩壊のはじまりであった.さらに経済戦争である.政治力,軍事力を背景に基軸通貨としての優位性を最大限に用いて,新自由主義の弱肉強食・拝金主義経済を進めてきたアメリカの方法は,実はそれしかなかったのである.しかし土台において国内産業は衰退の一途をたどり,いまや軍需産業と情報産業しか優位性はない.
 帝国アメリカは現代のローマ帝国,崩壊過程に入ったローマ帝国である.アメリカとの関係は,崩壊しつつある帝国との関係をどのようにするのかという問題である.帝国アメリカを率いてきた産軍複合体の力は今しばらく強大である.東アジアにも緊張を生みだし,日本に戦争法も作らせた.
 自民党は,かつての自民党ではない.アメリカのもとで軍を世界に展開しようとするファシズムの党である.もとよりマスコミもこの本質を伝えない.かつて自民党に投票してきた層が同じ考えのまま変質した自民党に投票する.搾取・収奪のためのあらゆる合法的方法がなくなったとき,資本主義はその維持のためファシズムを登場させる.それが9.11以降の世界である.そのことも詳しく述べられている.
 広島・長崎・福島を経た我々にとっては,アメリカから独立するかどうかの問題に終わってはならない.アメリカ問題は人類全体の問題である.原発の問題もまた,原発に依存しないエネルギーを開発して原発を止めると言うだけの問題はない.アメリカの核戦略に対して核兵器の本当の廃絶という問題である.つまり,日本において顕在化した諸問題の根拠を遡ると,アメリカの存在や核兵器の存在をそのままにして,日本だけが脱原発アメリカから独立するという問題ではないことがわかる.
 八〇〇年の経済を第一とする西洋の時代のその行きついた果てが,帝国アメリカである.人間原理にもとづく新しい世が,崩壊する帝国のもたらす混乱と混迷からの活路である.これ以外にない.新しい世をどのように生みだすのか.ここに人類がかかえる最大の問題としてのアメリカ問題がある.ここにまたアメリカからの独立という問題の真の意味がある.原爆と核惨事を経験したわれわれは,アメリカ問題の当事者である.この立場と観点をしっかりもって,深く掘り下げることが必要だ.それなくして対米自立もまたありえない.等々考えさせられる本であった.