没落するクニで声をあげる

 昨夜は定例の梅田解放区であった.東梅田の駅前通りの両側に20人ほどが集まり,声をあげる.この日の様子はたたかうあるみさんのところに詳しい.私が行くともう準備が進んでいた.いつものように横断幕をもつのを代わって手伝う.
 道ゆく人々を見ながら,皆が語るのを聴く.ある人は,来週国会審議で山場となる「重要土地調査規制法案」について前をゆく若者に語りかける.ある人は,コロナ渦での五輪がいかに命をおろそかにすることなのか語る.
 こうして街頭から声をあげることが大切だ.私もできる手伝いはしようと,参加してきた.ここに来るようになってもう三年半ほど経つが,この間このクニは没落の一途であった.

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 先日,鹿砦社から『NO NUKES voice vol.28』(『紙の爆弾』2021年7月号増刊)が贈られてきた.松岡さん,いつもありがとうございます.「総力特集〈当たり前の理論〉で実現させる〈原発なき社会〉」が本号の特集であるが,いずれの論考もその内容は深く重い.

 さて,日本というクニの没落が続く.「没落するこのクニに生きる」にも書いたように,いままさにこの日本というクニは没落の途上である.スガがどうのこうのという前に,このクニにおいては,世の規範というものが崩れてしまっている.
 いまこの崩れを止め,立ち止まる一つの道は,クニとして五輪中止を宣言することだ.しかし,この五輪に利権を持つものがこの国の権力を握り,そして私的利益を優先して強行する.

 五輪を強行したなら,その後に何が現れるのか.一気に早まるこのクニの没落の現実である.われわれはそれを見なければならないだろう.

  この利権集団が,百五十年,このクニを踏みにじってきた.多くの日本人はそれに流されている.世の規範の崩れの根源をたどれば,明治維新が人民の下からの闘いによって生まれたものではなく,下級武士の政権奪取でしかなく,人民にとってはお上が代わっただけのものであり,自ら世を作ってゆくという一般的な意志がこのクニには根づかなかった.
 そして,戦後はそこにさらにアメリカ問題が重なる.そんな時,『月刊日本』(6月号)に植草一秀氏の「CIAの対日工作」が掲載された.そこで著者は「共産党を除外した野党勢力に二大政党の一翼を担わせようと、CIAが連合と立憲へ工作が始まった」と推察している.枝野の立ち振る舞いを見れば,それは正しい.そのうえで,今このアメリカそのものが没落の過程にある.

 2019年,『分水嶺にある近代日本』で次のように書いた.

 アメリカとの関係では、最近、日本の空はすべて米軍に支配されていること、在日米軍はすべて治外法権の下にあること等が暴露されはじめた。奴隷であることさえ知らない真底からの奴隷状態を、ようやく脱する端緒が出てきている。

 アメリカは現代のローマ帝国である。それはすでに没落と崩壊の過程に入っている。いかに紆余曲折を経ようとも、それは避けられない。ここにアメリカの問題が表に出る背景があり、アメリカからの独立が現実の歴史課題となる条件がある。

 この歴史的現段階をふまえて近代日本を問い直し、資本主義の次の時代を見すえたわれわれの理念を育て、政治に向かう。これが問われる二〇一九年である。

 没落するアメリカが,没落する日本から少しでも多く搾りとり,アメリカの没落を少しでも先に延ばそうとする.それがいまの日米関係である.

 写真は夙川の両岸に咲くあじさい.犬の散歩で通る.神戸の灘区に流れる住吉川などは両岸がコンクリートである.このように緑あふれる夙川を残してくれた先人に感謝する.
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