よく見てよく考えよう.二つの世界を.

日本ではほとんど報道されないが,ブラジル北部のベレン世界社会フォーラムが開かれている.日経新聞がかろうじて報じている.南米で「反ダボス会議」 チャベス・ベネズエラ大統領ら気勢.今日のBSニュースでも映像が流れていた.
一方,世界経済フォーラムが,スイスのダボスで開かれている.これは、世界中の巨大企業約1000社の経営者、政治指導者(大統領、首相など)が参加する会議で,スイスのダボスで開催されるためダボス会議と呼ばれる.麻生首相も参加するため日本を発った.このダボス会議に出ていたトルコ首相がイスラエルのガザ攻撃を批判しようとして十分時間が与えられず抗議の退席.それでトルコに帰ったら大歓迎されたのである.麻生氏には望むべくもない気骨ある首相だ.
二つの会議とそれらがどのような立場で何をめざしているのか,じっくり考えてほしい.古い世界とそれを打ち破ろうとする新しい世界.
フランスでは250万人が参加するゼネストがおこなわれた.サルコジ大統領がやっているのは三周遅れの小泉改革である.小泉首相のときと違うのは,もう結論が出ているということだ.古い世界のなかの新しい闘い.これについてもよく考えてみたい.
そしてわが日本である.派遣切り、雇い止めが止まらない.それに対して自治体などが臨時雇用を増やしたりしている.それはそれで必要なことだが,焼け石に水である.ところが大企業は莫大な内部留保をもっている.キャノン:2兆9050億円、トヨタ:12兆6658億円,日産:2兆8204億円,ホンダ:5兆3629億円といった具合である(日刊現代12月19日付け).どこもこの四半期は赤字だが,少しぐらい赤字になったとしても蓄えは十分ある.どうということはない.この機会にいっそうの人員削減をやろうとしている.正規職員も例外ではない.
この膨大な内部留保という儲けはどこから来たのか.誰が生みだしたのか.大企業は小泉改革という名の新自由主義のもとで,誰はばかることなく派遣工員や正規工員を酷使してさんざん儲けてきた.莫大な内部留保はその結果である.派遣労働者も正規社員も同じく生産を担ってきた労働者である.ところが大企業は臨時雇用の労働者を社員とは思っていない.余れば返すだけ,と考えているのである.
このようなことが合法的にできるようになったのが小泉首相時代の規制緩和である.内部留保の1%でも吐き出せば,当面の雇用は守られる.それが企業の社会的責任というものではないか.第一,これだけ切り捨てれば,いよいよ世の中の購買力が弱まり,かえって企業の首を絞めるだけである.今ほど,企業とは何のためにあるのか,経済活動とは何ためにあるのかが問われるときはない.
経済活動とは,人間のためにあるのであって,逆ではない.人間は一人では生きられない.組織を生みだし協働して糧を得て生きてゆく.経済活動の本質はお互い様である.企業と労働者もお互い様であらねばならない.それぞれ相手あっての話しなのである.
昨日は釜が崎炊き出しの会に自家製の味噌と梅干を送った.などなどをしながら『解析基礎』を勉強している.4章の半ばというところだ.明日,明後日は直前講習4つ.皆さん,計画的にやるべきことをやって,自分の進路と自分の仕事をきりひらいていってほしい.