2009-01-01から1年間の記事一覧

行く年を送る

今年も今日で終わりである.2009年は長年続いた自民党政権が終わった年になった.民主党政権が生まれた土台には,これまでのやり方ではもう前にすすめない,という事実がある.消費が美徳とされ,経済を拡大することが善であるという考え方でやってきた.し…

「グアム協定」の中味

沖縄基地移転に関して,アメリカは日本に「グアム協定」順守を要求している.これは,海兵隊の一部グアム移転と普天間基他の辺野古移転を日本側の費用負担で行なうことを,クリントン国務長官と自民党の中曽根前外相が,今年5月に調印したことをさす.民主党…

天皇の政治利用?

天皇と習近平中国国家副主席との会見が設定されたことに羽毛田信吾宮内庁長官が不快感を示したことについていろいろ議論が起きている.それを「特例的」だというのは宮内庁の言い分だが,いずれにしても天皇という制度について議論が起きること自体はいいこ…

小中高生の暴力6万件 3年間で7割増

今朝の新聞に「小中高生の暴力6万件 3年間で7割増」が出ていた.3年で1.75倍である.内容は記事を見てほしい.ウエブの記事には出ていないが,新聞の方には次の記事も出ていた. 文科省や教育委員会は「感情がうまく制御できない」「コミュニケーション能…

普天間基地移設問題(三)

一週間ほど数学の問題ばかりやっていた.いつの間にか秋も終わり冬の気配である.写真は夙川上流の紅葉.久しぶりに我に返って世間を見ると,普天間基地移設問題で政府は相変わらず方針を明確にしない. この問題で肝心なことは,国家の主権という問題だ.日…

ζ(2l)の公式

ζ(2l)を関・ベルヌー数で表す公式を初等的に作れないのかとこの一週間いろいろ考えてみた.結果できた.関数論は使わず,母関数を用いて関・ベルヌーイ数とベルヌー関数の基本性質を証明する以外は,まったく初等的である.チェビシェフの多項式を東工大90年…

ゼータ関数の値

水曜日に京都のMKXで90年の東工大の問題を勉強した. 何人か11月15日のNHKスペシャル「魔性の難問 〜リーマン予想・天才たちの闘い〜」を見た人がいて,ゼータ関数のことも話題になった.東工大の問題を用いるとζ(2)が計算できると言う話しはしたが,そこま…

センター試験を事業仕分けの対象に(続き)

文部科学省が事業仕分けについての意見を求めている.「センター試験を事業仕分けの対象に」ということでメールを大臣官房会計課宛で送った.公共機関や民間団体の陳情などではないので,力はないが,意見の表明はしたいと思う.以下その内容です.これを読…

円空・木喰展

11/7〜11/29と京都駅の7階で『円空・木喰展』をやっている.昨日京都での授業の前に見てきた.円空(えんくう,1632〜1695)や木喰(もくじき,1718〜1810)は江戸時代の全国をめぐった行脚僧であり,各地に木彫りの仏像や神像を残した.円空を見ていると、竈(か…

センター試験を事業仕分けの対象に

政府の行政刷新会議で「事業仕分け」がはじまる.不要不急の政府事業を見直し,金の使い方を変えていこうということである. 私はぜひ「センター試験」を事業仕分けの検討対象にしてもらいたいと考えている.『私の考え,私の願い』にも書いたが,次の言葉は…

普天間基地移設問題(続)

11月8日,「辺野古への新基地建設と県内移設に反対する県民大会」(同実行委員会主催)が午後2時すぎから,宜野湾海浜公園屋外劇場などで開催された.沖縄タイムス.琉球新報.沖縄県の意志は明確である.普天間の基地は危険すぎる,よってアメリカ軍は退い…

秋深まる

十一月になった.今日は田舎に帰ってきた.義兄が定年になり時間ができたので,週末の二,三日は実家にかえり畑を作り直しはじめた.来年は田も耕すそうだ.先の台風で大きな被害に出た兵庫県佐用町の一つ谷が東,千種川の上流である.千種川の流域は亡くな…

『数論初歩』第3版

『数論初歩』第3版をあげた.細部の節立ては少し変更するかも知れないが,大きな枠組ははこれでいい.今回の改訂で少し現代風になった.大学院時代に整数論を専攻して,その後紆余曲折があって,教育分野でやってきたが,高校時代から好きだった数論を高校生…

普天間基地移設問題

普天間基地移設問題で民主党の方針が定まらない.この問題で肝心なことが忘れられているように思う.それは国家の主権ということだ.日本の土地のどれだけをアメリカ軍に貸すのかは,日本の主権の問題であり,日本政府が決めることだ.次の二点を明言すれば…

亀井発言は真っ当

亀井金融大臣の発言が波紋を広げている.朝日ニュース:親族間の殺人、亀井金融相「大企業に責任」 発言が波紋. 亀井大臣の発言は以下の通り. (大企業は)従業員を正社員からパートや派遣労働に切り替え、安く使えればいいということをやってきた。人間を…

秋深まる

秋が深まっている.今日の雨の後はさらに朝夕冷えるようになるだろう.『数論初歩』の改訂が少しずつ進んでいる.次のような構成で考えている.太字が章.後ろのほうの節構成はそこで書きながらである. 初等整数論/自然数/整数/約数と倍数/一次不定方程…

『整数の基本』新着

『整数の基本』が新着である.『数論初歩』の改訂をはじめていたのだが,ちょうど10月12日に1日講座で4時間の「整数」を受けもった.夏期講習でも「整数」をやった.整数分野ではどこまで戻って論証すればよいのかわからない,という意見を受講生から何回か…

嬉しい知らせ

高2,高3の頃に教えたことのあるF君からメールが来た.彼は兵庫県の公立高校を卒業.現役のときは様々の事情であまり勉強に集中できなかった.1年間予備校に通ったが国公立大学は合格できず関西の私大の工学部で勉強してきた.塾の中学の方でバイトをしてい…

II期1週間

II期が始まり1週間が過ぎた.夏は予定通り勉強できただろうか.充実した夏であったと実感できるかどうか.もし夏にやり残したことがあれば一定の時期までにやりきり,秋の勉強を進めていこう.何人かに進路の相談を受けた.最近は大学もいろんな道から生徒…

「私の政治哲学」 を読む

夏期講習が終わった.今年の夏は前の三分の一が旅,後の三分の二がひたすら授業という日々だった.いつの間にか秋の気配である.三〇日は選挙.こちらは予定があって期日前投票をした.写真は餌をさがすシラサギ.夙川にて. 追伸:先ほど阪大院生のSさんか…

『革命の侍』を読む

昨日昼に買った『革命の侍−チェ・ゲバラの下で戦った日系二世フレディ前村の生涯』(長崎出版)を夜までかかって読む.奥付の発行日は8月31日,それよりも先に読んだ.なぜ発行日が8月31日なのか.それは今から42年前の1967年8月31日,日系ボリビア人フレディ…

青空学園十年

今日でちょうど満十年である.ずいぶんいろいろあったように思う.一人でいろいろ考えている高校生や大学生,今の高校数学をよくしていこうと思う教員,そんな人が勉強し意見を交換する場になればと考えてきた.よく「『さあ受験のことはしばらく忘れて』楽…

『魂鎮への道−BC級戦犯が問い続ける戦争』を読む

『魂鎮への道−BC級戦犯が問い続ける戦争』(飯田進著,岩波現代文庫,2009)を読む.最初は1997年に発刊され,今回文庫に収録されたのである.これは歴史を主体的に記述したという意味で本当の歴史書である. 飯田進さん(86)は第二次世界大戦での日本軍のニ…

夏期講習半分終わる

この1ヶ月はとにかくよく歩いた.7月後半はアンジェ,リヨン,そして南フランスのラングドック地方とプロバンス地方,北イタリアはミラノの大地を歩きまわった.8月前半は毎日110分4コマの授業をし,黒板の前をいったり来たりして歩いた.一段落である…

マルセイユの落書き

マルセイユの下町の壁に写真のような落書きがあった.およその所はわかるのだが,できれば正確に訳したいと思いフランス語のできる知人に意味を聞いていた.改行をとって小文字に変えて書くと次のようなものだ. Mais où est SARKOPIE le primat des geôles …

ラマヌジャンのタクシー数

今日京都教室のMWの授業で,今年の一橋大学前期1番の問題を追加でやった. 2以上の整数はをみたす.を求めよ. A君が12,9の組をすぐに答え,「これはよく知られている」というのだ.実際これはラマヌジャンのタクシー数といわれる. その由来は次のような逸話…

誤植訂正

八月になった.あいかわらず雨が降り続く.まだ梅雨が明けない.日照時間が不足する.帰って最初に,いただいていた『高校数学の方法』の誤植の直しをやった.書いているときは「内容読み」なので誤植に気づきにくい.誤植を見つけるためには「文字読み」を…

フランス紀行6

ミラノ・マルペンサ国際空港までやってきた.荷物も渡した.WiFiの無線ネットがつながった.イタリアはフランスよりも混沌としているが,みんな生き生きとやっていると感じた.南イタリアはまた違うのだろう.それぞれの所で,人々が生きている.これからパ…

フランス紀行5

マルセイユは歴史の古い街で,こちらもいろいろ知っている歴史上の事実と照らしあわせながら歩いた.フランスの地方都市とは違いマルセイユは人があふれている.市内循環の小さな観光バスで丘の上まで登った.海はかぎりなく青い. モンペリエに戻り翌日ニー…

フランス紀行4

今回の旅も後半に入る.昨日はプロバンスの古代遺跡をまわってきた.ローマ時代の遺跡である.晴れわたったプロバンスの空気と太陽の下を歩きまわった.1日の駆け足ではこの地方の生活は何もわからない.せめてゴッホのひまわりの絵の風光を味わっておこうと…