センター国語でこけないために

 先日のZ会のイベントでもいったのだが,今年も私が知っているだけでも3人センター国語でこけた.3人とも理系数学の授業では優秀で,数学・英語・理科中心の記述模試ではいい成績を残していた.それが3人ともセンター国語が半分しかとれていない.センター国語でこける人が毎年数人出るということは,個人の問題ではなく,教育のどこかがおかしいのだ.3人とも中高一貫の私立校でそれなりの受験校だ.あるいは2次試験の受験科目を偏重して国語の授業が疎かになっているのかも知れない.いくつかの要因が複合してこのようになるのだろうが,次のことはいえる.
 文章を読んで,その内容を頭のなかで再構成する力が弱い.問題文についてもそうだし,選択肢の文章についてもそうだ.漫画やテレビのように映像がないと,内容をつかむことが出来ないのかも知れない.言葉からイメージを再構成する力に何らかの欠落がある.
 これを授業で取りもどすのは大変だ.一般の国語の授業は国文学に源をもち,どうしても文学鑑賞の側面があるが,問題は文学以前の人間の基本となる言葉力だ.ここに欠落がある人の能力をどのように修復するかは,大変難しいし,多くの国語教師が未経験の分野だ.私は,言葉の力をつける基本的な練習帳を作りたいと思っているが,とりかかれていない.
 いつも言うのだが,センター国語でこけるかどうかは,2,3ヶ月も数学の授業を一緒にやれば見えてくる.こけそうな人には早めに言うのだが,それでもこける.センター国語でこけそうな人は,奪われた力を取りかえすつもりで必死にやってほしい.相談にものりたい.