スウェーデンの教育改革

今夜は直前講習がなく家で夜NHKの「クローズアップ現代」を見た.【ヨーロッパからの新しい風(4)】『教育で国の未来を切り開け』であった.NHKの案内は次のものであった.スウェーデンの元の教育相の意図が「グローバル競争社会で通用する人材をどう育てるか」であるかどうかはわからないが.

グローバル競争社会で通用する人材をどう育てるか。この課題に「教育」という戦略で立ち向かってきたのが、一足早く安定成長時代に突入したヨーロッパの国々だ。「2010年までにEUを世界で最もダイナミックで競争力のある"知識基盤経済"にする」という野心的なビジョンの元、各国が独自の教育改革を行ってきた。教育に競争原理を導入することで学力の向上を図り停滞する経済の立て直しを目指してきたイギリス。一方、北欧のフィンランドは情報通信などの新しい産業を担う人材を育成するため「考える力」を重視する教育を実践、OECD経済協力開発機構)のPISA(学習到達度調査)で"学力世界一"と評されるようになった。次世代を担う子どもたちをどう育てるか、考えていく。

イギリスがサッチャー政権のとき学校に競争を持ちこんだ.全国学力テストを行い学校に格差をつけた.その結果,学校が荒れ,学力もまた低下した.ブレア首相が就任時に掲げたのが教育の再建だった.
その次にスウェーデンの教育を紹介していた.元の教育相が明確な理念をもっていた.「教育に金を使うのは未来への投資であり,考える力をつけることこそ,スウェーデンのとる道だ」というのである.「考える力を育てる」ことを実行するため,教育に関するさまざまの権限を市町村など現場に近いところに下ろし,下からの創意工夫を尊重した.一方,教員は大学院を資格の前提とし教育実習も半年間を義務づけ,資質の向上を図った.日本からも見学者が絶えないそうであるが,確かにこれはなかなか素晴らしい.
放送でも指摘されていたが,OECD諸国のなかで日本の教育が今いちばん制度疲労を起こしている.日本は昨年,教育基本法を変えたが,スウェーデンの方向に逆行し,サッチャーがやって失敗したことをふたたびくりかえすものだ.
高校生の皆さんは,このなかで,このような文教政策に負けずに自分の力を自分でつけていってほしい.どのみち自分の人生は教育制度をこえて切りひらいていかなければならない。この時代に教育を受けた高校生のなかから,身を以て自分の教育をふり返り,ひとつの制度のもとで精一杯に生きたことや苦しんだことを糧に,これからの日本の教育をなんとかしてゆこうと考える人が現れることを,心から願っている.