新指導要領

22日公表された13年度からの高校学習指導要領改訂案で次のような内容が目についた.数学:確率統計が数学Iに.数学Bで確率分布と統計的推測.複素平面数学IIIで,また曲線の長さも必修で復活.英語:英語の授業は英語で行うことを基本に,となった.国語の内容はまだよくわからない.数学の改訂は当然の方向で数学としては無意味なコンピュータ関係が数学科から「情報科」の方に移されたことも当然だ.
英語教育は根本的な変更である.つまり,勉強や研究の対象である教科としての英語から,意思疎通を図るための道具としての英語への転換だ.街の英会話教室を学校でやるということだ.このような転換を事前の討議もなく,教員の準備もなく,なし崩し的に進めるのは大変まずい.日常生活ではそこまでの英語は必要ない.読めれば十分ということが多い.仕事で必要になれば,そこでやれば十分だった.高校英語を道具としての英語の方向ですすめるなら,入試科目にすること自体が矛盾であるし,また必修科目である必要もない.
私は,日本語が基本で,英語は他の母語とのあいだの意思疎通の道具だと考えている.だから,道具としての英語という方向に反対ではない.英語は選択科目にし,入試科目からもはずすべきだと考えている.その上で,数学,理科,社会などの科目では,一部を英語で出題すればいいのだ.あるいは外国語の試験は,各教科から一題ずつ英語の問題を持ちより構成すればよいのだ.これは後期試験ではこれまでも行われてきた.日本文学でも問いは英語ということもあってよい.解答を英語で求めるか日本語で求めるかは,大学の考え方だ.基本は日本語で考える力があるかである.今回の改訂の内容はそのような入試のあり方の問題も含んでいる.