行く年を送る

今年も今日で終わりです.今年はこれまで蓄積されてきたいろいろな問題が爆発して表に出てきたような1年でした.ここで噴き出したいろんなことは来年さらに深くすすみそうです.このような時代のなかで若い人たちがどのような方向に進んでいくのか,いろいろ考え迷うことも多いと思います.青空学園では「しっかりと数学を学び,この時代を生きる智慧と力をつけよう!」ということでやってきましたが,これからの時代こそ,真剣に腰を据えて勉強し,考え,思い切って行動することが大切です.
前のコメントにも書きましたが,最近、数学はよく考えることができ鋭い解答もできるのに,国語の成績がまったく振るわないという生徒に出会います.本来,数学の力と日本語の力は比較的相関が強いのですが,それが崩れてはじめているのかと思います.しかし,日本語力をつけておかないと結局はどこかで困ります.来年,テストゼミ形式の授業を京都と大阪でするので,そこでもいろいろ工夫しながら,数学の力はあるが日本語力の弱い生徒の言葉の力を鍛えるような教材を工夫してみたいと考えています.
日本の高校に哲学や論述そのものを学ぶ教科はありません.フランスのリセの哲学に相等する教科が高校課程にないのは日本の高校教育の欠陥です.この欠陥を,言葉そのものを教えることができる力のある英語教師の授業や,記述力を鍛える数学の授業、そして文学ではなく言語を教える現代文の授業,さらにまた高校生自身の読書や思索によって,補ってきました.これは教師の個人的な力によるところが大きいのです.一般的に言葉と論述の力をそれ自体で鍛えるような教科は,日本の高校にはありません.
私としてはこれからは「高校哲学」といった教科書を準備しなければならないのかも知れないと考えています.冬期講習が終わったらまず『解析基礎』を仕上げて,そのあとこのあたりを考えたいと思っています.
この冬,受験生は春に花が咲くようにしっかりと冬籠もりを.これについては昨年に書いた「冬ごもり」を見てほしい.それではよい年を!