センター日本史

nankai2009-02-18

先日あったセンター試験の日本史の問題に対して「新しい歴史教科書をつくる会」(藤岡信勝会長)は12日,大学入試センターに「南京での虐殺事件や,関東軍による張作霖爆殺事件など,学会でも異説がある事柄を歴史事実として扱っており,入試問題として不適切」とする申し入れ書を送付した.2月末までに見解を示すよう求めている(サンケイ新聞).
設問は次のの3つを年代順に並び替えるもの.
I.日本軍が南京を占領するに際し、捕虜や非戦闘員を殺害する事件が起きた。II.中国東北部での日本軍の活動に対して、国際連盟からリットン調査団が派遣された。III.関東軍参謀河本大作らが、中国軍閥の一人である張作霖奉天郊外において爆殺した。
つくる会は「南京で虐殺事件が起き,河本大作が爆殺の実行犯と断定しなければ解答できず,特定の歴史認識を強要,誘導する設問」といっている.さてこれを皆さんはどのように考えるか.つくる会の申し入れ行為をどのように考えるのかということ自体が現代史の問題である.
I,II,IIIともすでに確定した歴史的事実である.学会でも異説があるというが,どこの学会のことか? このようなつくる会の申し入れは,日本軍国主義のおこなった歴史的な事実,事実が歴史の基礎であるが,その事実から目をそらさせようとする意図をもったものであり,彼らこそが特定の歴史認識を強要しようとしている.彼らは結局高校教育界にほとんど影響力をもつことができず,その「教科書」も書店で売られているが,内容はほとんどトンデモ本の類である.
日本軍国主義の復活につながるこのような勢力は決して小さくない.昨年の映画『靖国』のときも騒動が持ちあがっていた.彼らの傾向に同調する国会議員も多い.国会議員の場合はその方が票になりそうだからそういっている手合いがほとんどで,それなりの信念のあるものは少ない.ただ,現下の経済恐慌の行方によっては,かつて世界恐慌のなかからナチスや日本軍国主義ファシズムが起こったように,再びファシズムとして集約され広がることはありうる.現代史に対しても冷静な事実にもとづく見解をもって,自分の見解や行動を律することができるように,日頃からいろいろ考えていってほしい.
ということで今年のセンター日本史もざっと目を通したが,なかなかいい問いが設定されている.どれくらいとれるか,いちどやってみたい.写真は,毎年真っ先に咲く桃.夙川川辺の民家の庭先に咲いているのに,今日の夕方気づいた.