『数論初歩』第3版

nankai2009-10-26

『数論初歩』第3版をあげた.細部の節立ては少し変更するかも知れないが,大きな枠組ははこれでいい.今回の改訂で少し現代風になった.大学院時代に整数論を専攻して,その後紆余曲折があって,教育分野でやってきたが,高校時代から好きだった数論を高校生や高校数学に携わる人に伝えるため,自分なりのものは作った.あとは気長に増訂していきたい.『解析基礎』とあわせて,高校数学の内容を根拠から見直そうとするときに,立ちかえる土台は出来たと思う.
青空学園をはじめたとき,もっと一般的な読み物を書いていこうとも思ったが,目の前にいる高校生に,現実の問題である受験勉強のなかで,問題を解くという実践を通して,その向こうに広がりうる世界を少しは届けたいと考え,受験勉強からかけ離れないようにしてきた.日本では,出題する側も解き方を教える側も,受験勉強を手練手管の方法におとしめてきた.解くに値する良問を出題し,それを解くことから数学の一端に触れ,学問することを学ぶような,高校ー受験ー大学という教育の体系は無い.せめてもWEB上でできることをする,ということで十年経った.こちらの力がおよばず思いに比べてできていることは少ないのだが,また少しずつ積み重ねたい.
この数日こればかりやっていたので仕事の方が遅れている.最近の高校生は,数学ができることと,日本語などの言葉の力があることが,必ずしも両立しない人が多い.なぜなのか.本来,高校数学が得意であることと言葉に強いことは,ほぼ平行していた.それが崩れている.この現実のなかで,それを乗りこえていくようなテキストを作りたいと試行錯誤している.つぎはこの分野で何か形を作りたい.
写真は今年産み付けられたカマキリの卵.卵を残して親は死んだ.新しい命はこの卵に籠もり冬を越す.それが命のつながりである.今日,心を動かされた辺野古からの記事を見つけた.日本は戦後,日米安保条約の下,アメリカ軍基地のために土地を貸してきたが,それでどうだったか.ベトナム戦争から今日のイラクアフガニスタン,人々の生活を破壊しアメリカ企業のみがひたすら戦争から利潤を得てきた.そして今,アメリカはイラクでもアフガニスタンでも泥沼にはまっている.そんなアメリカ軍のためにジュゴンを殺していいのか,ということである.皆さん,よく考えていこう.