追悼,森毅先生

nankai2010-07-25

 森毅先生が亡くなられた.先生には大学に入ったばかりの頃,解析と数理統計の授業を受けた.数理統計の前期試験の問題が今も手元にあるのでそれを紹介しよう.

 右図のような島がある.ある男が酒場(B)を出て,家(H)へ帰ろうとするのだが…….(G)へ行くとカワイコチャンとドコカへ行ってしまう.(P)へ行くとポリにパクラレて,ブタバコへ行く.(B)へマイモドッたときは,飲み直してチンボツ.島の外へ出ればドザエモン.ただし,十字路では,確率1/4でどちらかへ進む.このとき
i) Bでチンボツ  ii) ブタバコ  iii) カワイコチャン  iv) Hのカーチャン  v) ドザエモン vi) 永遠にさまよう
のそれぞれの確率を求めよ. 

 高校生にとってもいい問題なのだが,これが1966年理学部1回生前期試験1番,先生らしい一問である.面白い先生だった.全共闘世代としては,いい加減なオッサンと思ったこともあるのだが,それは私の若さゆえ.今となっては先生の味.自炊していてやけどをしてそれから1年半の闘病,敗血症で亡くなられた.こころよりご冥福をお祈りします.
 追伸:項を改めるほどのことではないが,辻元議員が社民党を離党した.今日のような乱世の兆しのあるとき,政治をこころざすものにとって肝心なことは,目前の利害に惑わされず原則をつらぬくことである.この点において今回の行動は行政組織の中で何かをしたいという目前のことに惑わされて,自らの立ち位置を見失ったものであるといわざるをえない.行政に何かをさせることは重要である.内部にいて何かを改善することもできることはしなければならない.
 しかしもともと昨年の衆議院選挙は日本の官僚制度・行政組織が制度疲労を起こしている,これを何とかしなければならない,ということが選挙に反映した結果であった.とすれば辻元議員の行動は小事に目がくらんで大事を忘れたものだ.おそらくは,沖縄で筋を通した福島社民党に打撃を与えるために,官僚層が抱き込みを計り,それに乗せられたということだろう.それが読めない人であったということだ.
 先の社民党党首・土井たかこ氏は地盤がこちらにあったので,地域のメーデー集会などもよく顔を出しておられた.忙しい人で,こられたら順番に関係なくあいさつしてもらった.勢いのある,しかし打算のない人だった.社民党は議会政党の範囲ではもうほとんど解消だ.地域や運動の中に入り直しそこからやりなおさなければならない.土井さんが政治活動をはじめられた頃を知るだけに,これを転機にもっといろんな人々の運動のなかにある党に脱皮してほしい.