射影幾何

nankai2011-03-15

パスカルの定理と幾何学の精神』の第2章「射影幾何」の第2節「射影変換と複比 」の第1小節「点の演算」まで作った.PDFは最新である.いま作っているのは,こちらが楽しんでやっている段階のもので,まだまったく教育的なものではない.前にも書いたが『射影幾何学』(秋月康夫・滝沢精二著,現在数学講座,共立出版,1957,1967年第3刷)を底本にして,それをふくらませる方向だ.この本は大学2回生のとき買った.40年ぶりに読むのだから,不思議なものだ.あのときはここまでは読めなかった.自分のためのことなので,進み具合は気にせずにやってゆきたい.
いったいこの計画のどこまでゆけるのだろうとも思うが,実際にこれを作りながら,幾何学パスカルの精神の意味を考えたい.ここには,今の時代にかかわる深い問題があるように思う.考えてみればあのような簡単な公理系から,このように豊かな幾何的性質が出てくるのは不思議でさえある.逆に言えば,多くの人の努力によってパスカルの時代の射影幾何に背後にあってそれを根拠づけていた公理が見出されたということでもある.いろんな命題も実際に直線を引いて図をかいて考えるが,それはあくまで一つのモデルで考えているのであって,本質的なところは公理からの演繹なのだ.
やっと一段落したと思ったらちょうどそこにメールが来て,問題作成の仕事の締め切りが早くなったがいいかというもの.そのつもりですこしずつ材料は集めてあるが,問題にするといろいろ細かいところで時間がかかる.これから材料を整理して,順次形にしていかなければならない.射影幾何が区切りまで来るのを待ってメールが来たようなもので,うまくなっているとも言える.しばらく受験数学にかかりきりだ.
写真はハクモクレン.巨大地震があり,原発事故があり,この先どうなるかわからないときも,時節は移りかわる.今回の原発事故は深い深い闇がありそうだ.今はとにかく,事実を隠すな,最悪に備えつつ最善を尽くせ,その体制をとれ,ということしか言えない.政府は,事実を隠し,安易に考え備えをせず,事態を主導することもできないという状態が続いている.原発,とりわけ福島原発の歴史の闇もいずれ明らかになるだろう.なぜアメリカ軍がこんなに急いで出てきたのか,メア発言で傷ついた日米関係の修復という以上の理由があるようだ.こちらもいろいろ調べるつもりだ.