崩れゆく旧体制

九電の「やらせメール」問題はいろんな意味であきれる.内部告発か,あるいは少なくとも「こんなメールがまわっています」と言うことが共産党議員に連絡が入ったのである.そのメールが印刷されて国会で質問され,その4時間半後に九電社長が謝罪会見.原発においては,こういう九電の体質そのものがもっとも危険な要因なのだ.それが福島の教訓だ.であるのにあいかわらずこのざまである.あまりにもお粗末である.
また,経産省のエネルギー政策に関わる官僚がインサイダー取引で逮捕された.沈む泥舟から自分だけ金を手にして逃げようとしているかのようだ.原発利権で潤ってきた日本の大企業,官僚組織,そして司法権力の旧体制が,このように崩れはじめている.背後にあるのは帝国アメリカの没落である.
司法の旧体制も崩れはじめている.民主党森ゆうこ議員が小沢氏を強制起訴した検察審議会が無効であることを証明した.「東京第5検察審査会の起訴議決は無効だ!調査報告続編発表」とその資料を読んでみてほしい.この証明は論証として完ぺきだ.しかし大新聞はいっさい報じない.「起訴は起訴だ」といった弁護士仙石議員はじめ民主党の議員はこの証明の前に自らの進退を明確にすべきである.無効な強制起訴を受けて小沢氏の党員資格を停止した民主党執行部は責任をとらなければならない.また先日は,小沢秘書裁判で,検察調書の多くを裁判官が否定した.あまりにお粗末な国策捜査だったのだ.ここにも司法の自己崩壊がはじまっている.
新しい世が生まれてゆくために,崩れるものは徹底して崩れるべきなのだ.3・11以降,まず日本の旧体制が自己崩壊をはじめている.現在の日本に,国家としての政府は機能していない.管政権はあまりにも人望がなく,その政策に一貫した理念がなく,政府や民主党の人間は互いに疑心暗鬼に陥っている.
しかし,いかに彼らが腐敗し崩れようとも,あたらし時代を担うものが育たないかぎり,それだけで新しい時代が来るわけではない.小沢氏もこの情勢を受けて決起する決意があるのかどうかが問われる.われわれは,原発から脱却し経済至上主義から脱却し,金のためではなく人間として生きる世を理念にもって,日々を生きよう.いずれにしても長く困難な時代が続く.こういう時代が人間を鍛える.