ドルの時代の終わり

2年半前,2009年3月に京大経済学部に合格した人に「在学中の四年のうちに,ドルが紙切れになるという歴史的な事実を目撃することができるだろう.」と言った.これは当時の『数学対話』「反転と円環問題」増訂 の中の言葉である.
歴史には法則的に進むことと,偶然が作用することがある.ドルの崩壊,帝国アメリカの落日,これは法則である.しかしそれがいつどのような形で現実化するかは,情勢と条件の具合による.2年半前,4年あればそのときは来るだろうと考えていたが,事実そのようになりそうである.リーマンショックの後ひたすらドルを刷り続けた.必然的に価値は下がる.それをアメリカの政治力・軍事力で支えてきた.それももう限界だ.
もはやこれまでのような国際的な金融資本のもとでの物質的繁栄はありえない時代となった.人間は新たな価値,生きる意味を見出さなければならないが,今まだそれない.
こういうときに新たな現代的なファシズムが浸透する.昨日守口市長選挙で,橋下大阪府知事の維新政党派の人間が市長になった.現状を打破してほしいという願望が維新派への投票となった.しかし橋下の政治路線は基本的には現代版ファシズムであり,関西の大企業の意を受けて,大阪都をつくり,守口などの周辺都市も区に再編して地方自治を奪い大阪都に集約してしまおうというものだ.
人間は2回失敗しないと気づかない.かつて小泉首相の時に彼の現状打破に期待して多くの若者が彼を支持した.しかし実際はアメリカの意を受けた売国政策でしかなく,今そのツケが一気に噴き出している.橋下維新も同じことになるだろう.そこでようやく2回目の失敗を通して人々は気づくだろう.それは致し方のないことだ.
10年すれば橋下氏はヒトラーがドイツ金融資本の後押しを受けていたのと同じ構図で全国政治に出るだろう.そのとき,大阪の人間は「あいつの言うことを聞いたらロクなことはなかった」とわかっているが,全国的には彼にだまされるということになるだろう.それも通らなければならない道かも知れない.
ムカデにかまれた腫れはようやくひいた.いろいろ心配してくれた人にお礼申し上げます.暑い夏が続きます.今日京都へいって,ああこれが京都の夏だと思った.盆地の夏である.しかし懐かしい暑さだ.夏はこうでなければならない.皆さん,ご自愛ください.