紫陽花革命

昨夜の東京「再稼働反対! 官邸前行動」では4万5千人の人々が首相官邸の周りを埋めつくした.3.11の関西の集会で1万人なのだから,金曜の夜のこの人数はものすごい.主催者の動画の他にも別の動画がここにある.OURPlanet-TVにもある.松田龍作ジャーナルが詳しい.さすがに大手報道も無視できなくなり,朝日新聞毎日新聞とつたえ,テレビ朝日報道ステーションは比較的良心的に報じた.レイバーネットは「だれが命名したのか,再稼働反対の運動は『紫陽花(アジサイ)革命』と呼ばれる」と報じている.松田龍作さんの写真では白い紫陽花を掲げる人が写っている.命名が先行するのは慎重でなければならないが,しかしまた現場にいてこれを革命ととらえる人がいることも事実だ.
(追伸):日曜日の買い出しの車の中でこの話をしたら「革命までいけばよろしいが,一揆に終わることはないか」といわれた.「確かに,それが問題だ」.休日の夫婦の会話としてはいささか過激ではあるが,しかし実際のところ,今進んでいる事態は,近代日本の転換点となる内容をもっている.それが一時のものになるのか,ほんとうに転換を実現するのか,それは開かれた課題である.
ちょうどこのときに,小出裕章さんへのインタビュー記事『原発事故の総括』がウエブに出た.(人民新聞1450号).2,3日のうちに多くのところで引用されているが,読んでみるとこれはいわば「近代日本の総括」を内容として含むものだ.

野田首相が、大飯原発再稼働を強行する構えだ。昨年12月、世界の物笑いになった「事故収束宣言」を継ぐ愚行といえる。そもそも事故原発は、メルトダウンした燃料がどこにあるかも不明(1〜3号機)。4号機の使用済み核燃料プールはいつ崩壊しても不思議でない状態で、万が一崩壊すれば、「その被害は想像すらできない」と小出裕章さんは警告する。
再稼働が目前に迫った今、あらためて小出裕章さんに、1,福島第1原発の現状、2,原発事故1年を経た総括、3,放射能無害化技術の現状、4,脱原発運動、についてインタビューした。核災害によってあれほどの惨事を招きながら、まったく変わらない「原子力村」。彼らがいまだに支配を維持する政府に対し、「凄い国だと思う」とため息をついた。

という編集部のリードにはじまる本記事は,この1年半の日本有り様,その下でのわれわれの生き方を問う一文である.全文がウエブに載っているのでぜひ読んでほしい.紫陽花革命はこの「凄い国」に対する挑戦である.
原子炉の核廃棄物の処理は不可能である.このことが日本学術会議というそれこそ旧体制の中での検討で明らかになった.ところがこれを日本の既成の報道機関は覆い隠そうとする.6月20日付で『反戦な家づくり』さんが伝える.

【徹底拡散】日本学術会議が「核ゴミの地層処分は無理」と報告
一昨日、東京新聞中日新聞だけに出た記事がある。しかも、ネット版は出た直後に削除されている。その見出しは「日本学術会議もお手上げ  核のごみ地層処分困難」「安全確保できず」「現行方針転換を」(記事の写し)
これはかなり衝撃的なニュースだ。他社が一切報じていないのはおかしい。「学術会議」や「核廃棄物」「地層処分」などで何回もニュース検索してみたが、東京新聞の内容削除済みのタイトルしか出てこない。

詳しくは,上記ブログを読んでほしいが,このような重大な問題がひとたび記事になるや直ちに削除される.これがいまの日本の有り様である.しかしまた,それが伝わる.これも現代である.東電核惨事は未だに誰も責任をとっていない.企業犯罪,または国家の犯罪,いずれにせよそれは未必の故意の殺人である.責任をとるべきものに責任をとらさなければならない.いまの日本国は,実質この東電を含む原子力村,さらにそれを包括する旧体制の国家であり,司法や検察はその用心棒である.そしてその背後にあるのは帝国アメリカ,凋落しつつある現代の帝国である.
再稼働反対の運動がこの闘うべき相手をつかむとき,それは本当に革命に至るだろう.革命運動とは闘う相手をつかんだうえでの日常の行動そのものである.このままいくと7月はじめに大飯原発は動きはじめる.老若男女一人でも多く,この再稼働反対の運動の渦中に身をおいて,そして人間として考えよう.