消される前に

最近いっとき報じられてすぐ消されてゆくニュースが多い.昔のように闇から闇にということではなく,一時表に出てそしてすぐ消される.消されるかも知れないものなど,2,3ここに書き残しておこう.
◆最初は先に紹介した【徹底拡散】日本学術会議が「核ゴミの地層処分は無理」と報告である.使用済み核燃料を処理するシステムが不可能な中では原発を動かすことはできない.燃えかすの処理はいつかできるということで,ため込んできた.それが無理なら原発稼働は不可能だ.誰でもそう考える.だからこの記事はすぐ消えた.
◆また,東電「会社更生すべきだった」=値上げ審査の委員長というニュースが06/21-11:02時事通信社で配信された.この時事通信の記事はもう消されている.しかしこれについてはたんぼぼ舎茨城新聞を抜粋してくれている.

◇「法的処理すべきだった」東電値上げ検証 専門委 委員長が異例発言
20日に開かれた東京電力の家庭向け電気料金値上げを検証する専門家委員会で、安念潤司委員長(中央大法科大学院教授)が「東電は最初から会社更生しておくべきだった」と異例の発言をし、会社更正法の適用など法的処理が適切だったとの見方を示した。(中略)
全国消費者団体連絡会の阿南久事務局長は「株主や銀行の責任を問わずに(配当や利払いに充てる)事業報酬を電気代に上乗せするのは反対」と強く主張した。これに対し安念委員長は「一法律家としてぶっちゃければ、最初(の処理)を間違えた。100%減資して、銀行に泣いてもらえばよかった」と応じた。(後略)(6月21日 茨城新聞より抜粋)

これは至極まっとうな意見である.まえに,京都大学大学院経済学研究科教授(財政学、環境経済学)/「京都市環境審議会」委員の諸富徹さんが「東電倒産は資本主義の枠組みでもごく普通のルール」との見解を発表されたが,これと同じ意見である.企業犯罪をおかし,これだけの惨事を引きおこした以上,東電存続などあり得ない.しかしそれは原子力村の解体につながる.東電の株をもつ多くの金融機関などが甚大な被害を被る.その結果,東電は存続し株主総会でも新社長は厚かましくも「原発再稼働の遅れに懸念」という.昨日の株主総会では,その一方で東電の実質国有化というが決定された.「国有化」にだまされてはならない.これは名ばかりで,核惨事の責任を問うことなく,また企業を解体することもなく,ただひたすら東電再建のために底なしに税金を注ぎ込むというものである.
◆またこれもいつ消えるかわからないが,株主総会のあったその同じ日に東京電力は重大な発表をした.それは福島第一原発1号機の建屋地下で毎時1万300ミリシーベルト放射線量が計測されたと言う発表だ.格納容器内をのぞけばこれまでで計測された最大の線量である.
時事通信読売新聞も小さく報じる.これが地下水に混じり、その地下水が海に出る.福島第一原発1号機の現在である.今は核惨事の渦中にあるのだ.再稼働どころではない.しかし,このニュースは目立たないように、株主総会の方に目がいっている間に発表された.それにしても地下で何の防護壁もなく核実験するようなものだ.これが持続している.この事実は,核惨事がいかなる惨事あるのかを,時間とともにわれわれに思い知らすことになる.ここで多くの労働者が働いている!
ラジオ放送「たまねぎジャーナル」の小出さんの見解を起こしてくれた人がいる.見解部分をこちらで整理.?は質問者の部分.

既に炉心が溶け落ちてしまっているわけですから、その程度の値は十分出ますし、多分もっともっと高いところもあると思います。
毎時10.3シーベルトというのは、ミリシーベルトに直すと1万300ミリシーベルト。ということは、これを人間が浴びたらどうなるんでしょうか? 1時間当たりの被曝量になっているわけですが、人間というのは8シーベルト被曝をしますと全員死んでしまいます。ですから、その場所にもし1時間、まぁ1時間弱居れば、全ての人は死ぬという、それほどの被曝量になります。この量というのは、法律が一般の人が1年間に浴びる限度としてる1ミリシーベルトの10,000倍です。
その場所にこれから入らなきゃいけないというようなことも出てくるかと思うんですが? とても無理です。この数値というのは基本的に下がりません。これから何年経っても、何十年経っても、何百年経っても、この場所に人が近づいて廃炉作業というのは出来ないということですか? 人間が行くことは多分できないと思います。
将来ロボットか何か開発して、近づかないようにして廃炉作業を進めていかなければいけないということですか? 大変難しい作業になると思いますし、作業自身を断念しなければいけない可能性も高いと思います。そのままチェルノブイリ原子力発電所の事故の時にやったように、トーラス室を含めて原子炉建屋全体を石棺という形で封じ込めるということになる可能性があると思います。
今回こういう高い値が出たんですけど、これはある局部だけ出たというよりは、その辺り一帯は同じような値と考えたほうがいいんですか? むしろもっと別のところに行けば、もっと高いところがあると私は思います。たまたまその場所がその値だったというだけで、若干低い所もあるでしょうし、もっと高いところもあると思います。本当に今の段階ではどうしようもないというような状況なわけですね? そうですね。人間が行くということは、少なくとも全くできません。

これが東電核惨事の現実である.この事態に対して誰が責任をとったか? 誰もとってはいない.これが日本の現実である.
■さて明日金曜日夜,官邸前デモが呼びかけられている. 6.29緊急!大飯原発再稼動決定を撤回せよ!首相官邸前抗議.「神州の泉」さんが「野田首相の姑息な原発デモ阻止作戦」を紹介されている.

総理官邸前のまったく傷んでいないアスファルトの道路を官邸の指示で6月末から突然、補修工事が始まったらしい。
なぜ、今、工事なのか?
その答えは簡単だ。毎週金曜日に行われる「反原発」デモに対する嫌がらせなのだ。工事中のためデモ隊が官邸前に集まることができない。

とのこと.デモが官邸前座り込みに発展することを恐れているのだ.今回の再稼働反対の人々の行動は,一時のものではなく,言われるように紫陽花革命という内実をもちつつある.何より,はじめて参加する人が多い.はじめて街頭の行動に出るということは,その人の中での大きな革命なのだ.一人一人が考え、行動する.その量的蓄積がようやく質的に転換するところに近づきつつある.私も行きたいところなのだが,今回は用事もあって留守番である.