奴隷であることを知らない奴隷

昨夜久しぶりにテレビを見た.NHKが中国の週刊誌「南方週末」の検閲書きかえ問題を得々と報じていた.中国ではこのように言論の自由がないのですよ,というわけである.これを見ていてNHKが言うか,と思った.中国の200人のデモは報じるが,1月11日の金曜行動のことなど5000人が集まっても報じない.これはNHKだけではなく,他の民放や大手新聞も同じだろう.
NHKはいわゆる旧体制=原子力村の利益に沿った報道のみを,公共放送の名のもとに行っている.各テレビ,新聞もそうである.衆院選挙でも世論の誘導を行い,安部政権の経済政策でも,さも景気がよくなるかのように報じ続ける.数年前から,マスコミの偏向報道への批判は,市民段階で行われてきたが,選挙結果を受けて,完全に居直っている.
これで思い出したのが,確か魯迅の言葉であったとおもうが,「奴隷であることを知らない奴隷がいちばん悲惨な奴隷である」という言葉だ.「南方週末」の記者やこれに連帯しようとする中国の報道人は,少なくとも自らが奴隷状態にあることを知っている.それに対してNHKの報道人は,完全に奴隷で,奴隷の身に甘んじていて,そしてそのことを知らない.日本の報道がいちばん悲惨なのだ.奴隷であることを自覚した中国の言論人は,闘う.奴隷であることを知らない奴隷は永遠に奴隷である.もっとも,こういうこともあるようにNHK内部にも奴隷であることを自覚した人がいるかも知れないのだが,それはごく少数である.
まずわれわれは,日本の大手報道機関の報道人が,奴隷であることを知らない旧体制=原子力村の奴隷によって占められていることをおさえよう.そして,それに対抗するわれわれの報道組織を育てよう.つくづくそのように思った次第である.
追伸:同じメディアの問題をcangaelさんも書いておられる.安倍総裁・総理、生みの親番組へお礼出演.ブログのような輪が広がり,われわれの側の報道網が広がればと思う.