選挙を終えて

参院選が終わり闘いはこれからである.まだ数の結果は出ていない夜9時に,これを書いておこう.今回の参院選投票率は過去にない低さになりそうである.それは無理もない.戦後体制を作ってきた,三権分立政党政治,議会主義,裁判の公平などすべて立前だけの虚構であったのではないか,そう考える若者が政治への不信を極限にまで高めている現在,無理からぬことである.これはすでに,前回の衆院選が,議会制民主主義が世の中をまとめてゆく手段としての有効性を失う画期となった選挙であったことの,再度の確認に過ぎない.今回の参院選はその締めくくりである.議会選挙への不信はむしろ肯定すべきことである.衆愚政治に流れかねない現代の議会選挙とそれによる統治は,結局のところ戦後の原発国家,格差社会を生みだしてきただけではないのか.議会主義はその歴史的な役割を終えたといえる.トルコもブラジルも,議会選挙が問題ではない.人々の直接行動である.
いずれにせよ,問題は議会政治ではいかんともならならない.実際の大衆行動がすべてを決める.その大衆行動の質が次に問われる.大衆の意志をどのように実現してゆくのか,その回路の模索ははじまったばかりである.大衆行動に参加する人々の間にうまれる新しい関係と意志の結集の力,私はそれを人民権力と呼びたいが,実例は,10数年前のアルゼンチンのアサンブレア,そしていまのトルコの市民集会,ブラジルの「無賃運動」.つまりは,地域の寄り合い・評議会である.このような組織と運動がこれからの世を決める.いずれこの日本にも現れる.議会主義政党としての生活の党は,<「勝負は次の衆院選」―安倍政権、長くない=小沢一郎生活の党代表インタビュー=>にもあるように,安部政権が麻生政権と同じようにゆき詰まったときの次の衆院選を勝負とする.そのとき,どれだけ大衆的な街頭運動と結びつくことができるかである.自民党政治がつぶしたこの日本を,われわれが再建する,その「われわれ」をどのように形成するのか.
その意味では,三宅洋平氏と山本太郎氏の選挙最終日の様子を伝える田中龍作ジャーナルの内容は示唆にとみ,また希望でもある.SPYBOYさんも行かれた.これは臨場感あふれる報告である.ぜひ一読を.議会選挙の場でそれを打ち破るように現れるこのような人々の集まり,その運動.この力は,この秋,原発再稼働が現実の問題となったとき,再び大きなうねりとなって現れるだろう.そのときは,議会選挙ではなく,原発を再稼働する政府との直接の対決へと向かうだろう.山本選挙で,このような人々の結集が実現したこと自体,今回の選挙の大きな勝利であり,数の結果にかかわらず,次への段階への種を播いたと言える.私は希望を失わない.私が支持した生活の党が,議会主義の枠から脱皮して,大衆の中に打って出られるかどうか,それしか活路ないのだが,それができるかどうか,これもまたこれからの問題だ.
写真は,ナツアカネにミンミンゼミにアブラゼミ,そしてクマゼミ.今年はセミが遅い,ミンミンゼミがいない,と思っていたが,今夕すべてを確認した.そして,これから孵化する場所に移動するセミの幼虫.アブラゼミクマゼミだ.明日の明け方孵るだろう.追伸:(左下写真)翌朝の抜け殻.無事に孵化したのだ.
セミはしかし,孵って1週間しか生きない.地上に現れて子孫を残しそして死ぬ.厳かな生きものの営み.人間世界の諸々を横目で見ながら,生きものの営みは続く.
追伸:選挙結果の中で,沖縄の地域政党沖縄社会大衆党」の現職で,普天間の県内移設に反対する糸数慶子さんが自民新人を破り,三選を勝ち取ったのが,大きい.山本太郎さんの当選とともに,今後への種まきである.糸数慶子さんの公式サイト.彼女は社民,共産,生活,みどり推薦で闘った.そうすれば勝てる.ここにお手本がある.新しい日本は,一つはやはり沖縄にはじまる.また,去年9月の人民新聞によるインタビュー記事も参考になる.そのときの糸数さんのブログ記事.昨年沖縄に出かけこの会見を行った人民新聞に感謝.この会見の最後に彼女が言っている.「もの言わぬ民は滅びるのです.」これは実に重い言葉だ.われわれはもの言わねばならない.