名護市長選挙

辺野古基地建設を対立軸とした名護市長選挙は現職の稲嶺進氏(無所属、社民、共産、社大、生活推薦)の2期目の当選が確実となった.こちらは沖縄タイムスの「沖縄タイムスしまパス」に登録しているので,8時には当選確実速報がメールで来た.四年前の選挙は争点を隠したものであったが,稲嶺氏が当選した.このときのことは「名護市長選挙は歴史の転換点」に書いた.これを読みかえし,もうあれから四年が経ったのだと言うことと,あのとき「歴史の転換点」といったが,その後民主党政府が崩れ安倍政府になり,まさに歴史はまっすぐにはいかないということ,さらにそれでも歴史は進むのだということと,これらのことを思い感慨深い.沖縄タイムス社の記事:「名護市長選:[視点]詭弁はね返し 自立選択」,「名護市長選:「直近の民意」政府衝撃」,さらに琉球新報社の社説「稲嶺氏再選 誇り高い歴史的審判 日米は辺野古を断念せよ」などを読むと,その感は深い.
今回の市長選挙は,自民党が必死で候補の一本化を図り,さらに終盤になって,幹事長の石破が,「500億円の名護振興基金新設」石破氏、市長選演説でと,まさに金で人をたたくような発言をした.党の幹事長が税金を動かすこんな発言が出来るのかと,話題になっていた.これが16日.こんなことをすればよけいに票が逃げる,なぜそれがわからないのかと,急遽自民党は野中氏を投入した.「札束で沖縄踏みつけた」=野中氏、安倍政権に苦言−名護市長選.これが18日.このドタバタは,いかに今の安倍政権が,浮き足立ち,人の心を知らず,焦っているかを,如実に示している.
辺野古基地建設について,オバマアメリカ政府自体が,経済が行きづまるなかで国外に展開する米軍は,できる限りアメリカの直接支配の及ぶところに集約する,沖縄の米軍はグアムに引き上げる,この方針をもっている.琉球新報社の社説「ハムレ氏発言 在沖海兵隊撤退の提起を」参照.それを,今もって思いやり予算をつけ,巨大な基地を建設して無償で提供して,必死に沖縄に米軍を引き留めようとしているのが,日本の旧体制=原子力村,そして安倍政権である.その後ろには,今も戦争で儲けるしかないアメリカの産軍複合体がいる.しかし,もうこれで辺野古基地はありえない.稲嶺市長は,日米両政府が推進する辺野古移設計画は市長権限を最大限に行使して阻止すると明言している.官僚は,天下国家よりも自己の利害優先である. 安倍政権や原子力村に,市長と対立し流血を覚悟してまで基地を作る腹はない.
沖縄の未来は,アメリカ軍基地全面返還の上に,東アジア交易の拠点としての基盤整備,末永い繁栄の基礎を作ること,これ以外にない.ちなみに,「山本太郎参院議員、名護市長選で応援演説 「首都はすでに制圧されている」」ではないが,関東地方では4つの米軍基地が無償で提供されている.あるいは占領されている.こう考えると,沖縄の未来は,アメリカからの独立を果たそうとするわれわれ自身の課題でもある.
そしてこれが,都知事選への対応をどのようにするのかという焦眉の問題とも直結している.都知事選で安倍政権に打撃を与えることが出来れば,四月からの消費税不況と重なって,政権を追い込むことも不可能ではない.それだけに都知事選挙は重要だ.
歴史の道は曲がりくねっているが,いかに紆余曲折を経ても,到達すべき所に到達する.それを改めて確認する名護市長選挙の結果であった.