鎌田慧さんの叫び

nankai2014-02-01

 午後の追伸:cangaelさんが「”脱原発一本化”最後の訴え(鎌田慧氏)」と題して,新聞ゲンダイ掲載の一文を紹介をされている.あわせて読んでほしい.宇都宮陣営はこの声に耳を傾けよ.
 細川氏への支持を表明している鎌田慧さんが,1月29日の東京新聞「本音のコラム」で,都知事選挙で細川・宇都宮陣営の統一ができていないことに関して,次のようにいわれた.日々坦々さんのブログより引用させていただく.

 「デミトロフ」といっても、チョコレートやケーキの名前ではない。ましてや「テルミドール」のような料理でもない。東欧ブルガリアの政治家である。私などの老輩には、デミトロフは「獅子吼(ししく)」という言葉とともに思い起こされる。獅子吼といえばデミトロフである。
 ゲオルギー・デミトロフは、1933年2月のドイツ「国会議事堂放火事件」の容疑者として逮捕された。が、ナチス共産党弾圧を引き出すための、自作自演のでっち上げだった。ナチスの法廷に引き出されたデミトロフは、徹底的に陰謀を検証して、翌年には無罪を勝ち取っている。
 しかし、名前が記憶されているのは、国会放火事件によってではない。その2年後に行われた、「コミンテルン大会」での演説によってである。彼は独善的で公式的、現実には全く通用しない、排他主義的な同志たちを批判、大胆な反ファッショ統一戦線の結成を呼び掛けた。ナチスと対抗するための、多様で広範な、民主主義のための共同行動を熱烈に訴えた。その情景が「獅子吼」として語り継がれている。
 戦争に向かおうとしている、いまのこの危機的な状況にもかかわらず、広く手を結んで共同行動に立ち上がらず、あれこれ批判を繰り返している人たちに訴えたい。いったい敵は誰なのか、と。

 このように,反ファシズム統一戦線を呼びかけたかつてのデミトロフの故事に重ねて,切実な訴えをされている.このことを,「共産党を批判した鎌田慧氏の衝撃」と題する天木直人さんおメールマガジンで知った.ここに天木さんの一文が紹介されている.また,ここに鎌田慧さんのコラムの写しがある.これは本当に勇気のいる発言である.私はこの発言を心から支持する.
 鎌田さんが言われるように,デミトロフの訴えのよってコミンテルンは反ファシズム統一戦線を呼びかけるようになる.当時の世界は,国家の陣営でいえば,独・伊・日のファシズム諸国,非ファシズム資本主義諸国,ロシアなど社会主義諸国,そして植民地支配のものとにあるアジア・アフリカ諸国に分かれていた.当面する主要な敵であるファシズムと闘うために,これに反対するところは,これまでのいきさつをひとまずおいて,反ファシズムで統一しなければならない.この呼びかけがあってこそ,1935年8月1日に中国共産党人民解放軍は抗日統一戦線を呼びかけ,国共合作がその後成立,それによって日本軍国主義は敗れ去る.もしあのまま国共内戦が続いていれば,日本軍によって個別に撃破され,あるいは分断されて,中国の独立と新中国の成立はありえなかった.
 八木啓代 (やぎ・のぶよ)さんに教えられたのだが,戦後世界でも次のような経験がある.

1989年、チリではピノチェト軍政を倒すために、極左MIRから、右派キリスト教民主党までが大同団結して、煮え湯を飲む思いで、かつてクーデター支持派だったエルウィンを担ぎ出して、勝利した。2002年のフランスの大統領選挙では、極右国民戦線のルペンが決選投票に進んだとき、社会党支持者は、鼻をつまんで、右派のシラクに投票を呼びかけた。

 こうして歴史を切りひらいてきた.どうしてこれが日本でできないのか.八木さんは結論として,「だから、私は、首都に住む者の責任として、ここは安倍にストップをかけるということを、苦渋の選択として、あえて選ぶだろう。」と言われる.この意見がさらに広がることを期待する.
 宇都宮陣営は「宇都宮けんじ希望の政策」と称して,おおくの政策を並べている.その内容に異議はない.しかし,それをどのような道筋で具体化するのか.今回の知事選挙で舛添候補が勝てば,すべては絵にかいた餅ではないか.彼らは,その政策を並べて書くこと,そしてそれによって一定の支持者を集めることそのものに意味を見い出していて,それを少しでも実現することに関しては,まったく熱心ではない.あるいは,本気ではない.そう言わざるを得ない.そして,脱原発の側を分裂させる.これはまさに利敵行為である.
 鎌田さんは,そのことに怒り,嘆き,このようなわれわれの側の有様を悲しみ,そしてあの一文を書かれた.田中龍作さんが【都知事選】金官参加者「脱原発したいなら小異捨て大同に」で<彼女は苦しい胸のうちを明かした。「なんで一本化できないのか? 前回の衆院選参院選で負けたのに何で野党はまとまらないのか? 本当に原発を止めたいのであれば小異を捨てて大同につくべき」。彼女は吐き出すように一気に話した。>と伝えるように,東京の金曜行動(金官)参加者の思いも同じなのだ.再度言いたい.宇都宮陣営はこの声に耳を傾けよ.
沖縄・名護市長選挙の闘いは,われわれに勇気を与える.『人民新聞』(1504号)が伝える現地の息吹は希望である.自民党や日本政府の金による分断工作を乗り越えての勝利である.ここに至るまでの長い苦難の道を思えば,東京の闘いもまだまだ長い紆余曲折が必要なのかも知れない.しかし,原発問題に関してその時間はあるのか.廃炉への困難で長い道を思えば,一刻も早く決断すべきなのだ.人間はその判断ができるはずだ.名護でできたことが東京でできないことはないはずだ.
 先日SPAYBOYさんがいわれていたが,2000年のアメリカ大統領選挙ラルフ・ネーダーが立候補した結果,票が割れ,ゴアが敗れてブッシュが勝ち,それからあのイラク戦争へと進んでいった.アフガン・イラク戦争の犠牲はあまりに大きい.このままでは,おなじ歴史が日本でもくりかえされる.それでも,SPYBOYさんの伝える東京の報告,1月29日:細川・小泉立ち会い演説1月31日:金曜行動は,読んで励まされる.関西にいて,しかもまだ街頭にも出られず,意見を言う以上のことは何もできない.その悔しい気持ちを抑えながら,見守っている.
 写真は犬を連れての散歩で見かけた花や実.季節は移る.もう二月なのだ.