地元の市長選挙

今日は退院後4回目の診断日.血糖値関係の数値HbA1cも基準以下の5.9になっていた.ステロイドを飲みながらも,しっかり歩いて運動して,数値を減らしてきた.自分の体を管理するということで,本当にいろいろ勉強になった.それで明日からステロイドは1日あたり1/2錠.ここから眠っている副腎皮質を起こしてゆかなければならない.ということでこれまでは4週間ごとの診断で薬を減らしてきたが,次は6週間後.先生も慎重である.順調にいって,回復したと言えるのは夏の終わり頃.気長に行くしかない.
昨日は地元西宮の市長選挙選挙の結果現職が敗れ,市議会議員から転身した今村氏が当選した.ここには今の日本の政治状況がそのまま現れている.現職であった河野昌弘候補は,自民党公明党民主党の推薦を受け,さらに市医師会や西宮建設協会など約150の各種団体から推薦を受けた.市議も40人中30人が支援を表明.市役所勤務50年の助役上がりの人であった.一方の今村岳司候補はもとはリクルートの社員であったが市議に転身して4期15年市会議員であった.1年ほど前から立候補の準備を進め,いろいろな地域集会や政策ビラの配布をこまめにやってきた.選挙では学生ボランティアも少なからず参加していた.一方で出陣式に参加した市議は3人だけ.
直接の争点は2012年8月に閉鎖したアサヒビール工場跡地をどうするか.阪神国道に面した街の真ん中にある.河野旧市長は,私が入院していた市立中央病院が市の北の方にあり耐震補強も必要なので,これを工場跡地に移転新築するという265億円を使う再開発計画を打ち出し,市議会の了承も取り付けていた.今村氏は「ビジョンのない無駄遣い」と批判,白紙撤回を主張した.
今村氏は,政治的主張は市政の合理化と人件費削減,市職員の大幅合理化.現業職の民間委託なども訴え,内容においては橋下大阪市長とそんなに変わらない.妻が彼の地域集会に顔を出して質問もしてみたが,とくに理念のある人ではないこともわかり,これはもう一つだと感じたようだった.が,河野市政が,旧態依然とした利権諸組織,そこには市職労なども含まれるが,その上にのっていたものであり,そのような市の在り方をおかしいと感じる市民の票が今村氏に流れた.
もう一人の高橋倫恵(みちえ)氏も市会議員からの立候補.言っていることはもっともなことで,アサヒビール工場跡地は海からそんなに高くなく,津波が来れば少なくとも1階は水につかる.そんなところに病院を移転するのは反対.市民公園にすることを打ち出していた.立候補の表明が今年になってからで遅く,準備不足は否めなかった.それを取りかえそうということでもあったのか,「西宮から女性市長を」を選挙の車の上に掲げていた.しかしこれはまちがいだ.政治家はあくまで政策で闘うべきで,「女性市長を」と言ったとき負けていたように思われる.それでも二万票集めた.彼女は家庭の主婦,一市民に戻って,次の機会に備えてもらいたい.
戦後政治の中で利権を得てきた諸組織とその体制が,地方から下から拒否されてゆく.それに変わる受け皿として,市職員や老人あるいは要生活保護者などに係わる施策を「合理化」し,市財政を身軽にして経済活動を盛んにするという,それ自体は新自由主義の主張をもつものが現れる.安倍政権自体が,実態は旧政治の自民党のにあり,その一方で,選挙などではこのような40代50代の新保守主義というべき層に支えられているのかも知れない.
さてこれが今後どのように動いてゆくのか.西宮市は阪神間にあり,橋下市長の大阪市とも市の状況は違う.が,日本の今の政治の一断面であることはまちがいない.経済の時代から人間の時代への転換期にあるべきわれわれの政治について,もうすこし考えを深めたい,写真は庭すみの小さな花と原種のバラ.ハッとさせられる.