歴史は厳格−金曜行動の日に

今日は台風が近づくなか金曜行動の日.とにかく7時から8時前までみなで声を合わせてきた.いつもより参加者は少なく50人程か.それでも一人一人,なくてはならない行動になっているのだ.今日のいろいろな人の発言の中で,彼らはまた8月30日に「あべ? NO! デモ」をやるそうだ.こちらは仕事があって行けないがが,若い人たちの行動がこのような課題に広がっていることは,いいことであり,必然でもある.それを聞いて,声をあわせながら,歴史は厳格だと言うことを考えていた.
イスラエルは,彼らのいう戦果をあげることなく撤退した.イランラジオ日本語版は「イスラエル首相、ガザでの敗北を認める」と報じている.この戦争でハマスへの支持はいっそう高まった.ハマスはガザの封鎖を解かない停戦には反対の立場を崩していない.エジプトの軍事政権が反ハマスである.ここで行われている停戦交渉に向けて,ガザでは昨日多くの人がハマス支持の街頭行動を行った.この間の戦闘を通じて,ガザでも西岸地区でも世界中でパレスチナ人の間の士気むしろ高揚,世界の99%の人々の行動との一体感も深まった.今はハマスがむしろ攻勢に出ている.あるいはこの先,第三次インティファーダ,人々の対イスラエル蜂起が起こるかも知れない.それは,99%の人々の1%への闘い,資本主義の非人間性に対する闘いと一体である.
追伸:人民新聞1523号にはイスラエル現地からの報告「第3次インティファーダ始動」が届いた.この報告や田中龍作さんの報告は,まさに今の世界を伝える.
ウクライナ軍は東部で崩壊しつつある.ウクライナ兵が大挙ロシアに投降した.また,マレーシア機撃墜問題で,当初はロシアやウクライナ親ロシア派がやったと声高に叫んでいたEUアメリカもそれを言わなくなった.なぜか.そこには何があるのか.(追伸)「本当にプーチンのミサイルか?」が言うように,アメリカやウクライナが情報を公にしない中で,事実はまだ分からない.このような中で,EUアメリカは対ロシア経済制裁をおこない,ロシアもそれに対抗して,対米,対EU経済制裁を発表した.EUアメリカのロシアへの経済制裁はその根拠を失いつつある.
むしろ制裁されるべきはアメリカである.イスラエルのガザ攻撃そのものが国連もが非難する不当なものである.アメリカはその直前にイスラエルへの軍事支援を行っている.それなら制裁されるべきはアメリカなのだ.アメリカの二重基準はもはや許されない.オバマ大統領は8月7日の会見で「大量虐殺(ジェノサイド)に当たる恐れのある行為を阻止するため、慎重に責任ある行動を取ることはできる」と表明.イラク限定空爆を承認した.よく言うよとはこのことである.世界はアメリカの言う偽りの普遍原理では動かない.多くの偽りが普遍の名のもとになされてきた.なぜ偽りの普遍かといえば,その普遍性はアメリカには適用されないできたからだ.人々はそのことに気づき,アメリカこそ制裁されねばならないと,立ちあがっている.
このときもっとも遅れているのが,日本の政治である.このようなアメリカの先兵を買おうというのが先の集団自衛権問題である.アメリカは空爆だけやり地上部隊は日本兵である.このような事態が現実化しうる.アメリカは現代のローマ帝国.崩壊過程に入ったローマ帝国である.その崩壊は,同時に経済第一の西洋中心の八百年の歴史の転換である.しかし,崩壊過程にある帝国はまさに何でもする.集団自衛権問題自体アメリカの要請である.アメリカに対してこのような態度の日本政府は,内においては国民の生活を守ろうとしない.「除染、目安が消えた 「どう作業」自治体任せ 環境省方針、個人線量に重点」との記事が朝日新聞に出た.その全文はここで読める.

市町村が行う除染の進め方について、環境省は1日、住民一人ひとりが実際に浴びる個人線量を重視する新たな方針を発表した。福島県内4市から「これまで基準としてきた空中の放射線量にもとづく推計は、住民の被曝(ひばく)実態とかけ離れている」などと求められていた。ただ、具体的な基準は示さず、どこまで除染するかの判断は自治体に丸投げしたままだ。
空間0.23マイクロシーベルト「目標でない」 方針は、国と福島、郡山、伊達、相馬4市の勉強会の中間報告としてまとめられ、環境省井上信治副大臣福島市で発表した。

しかしこの数字が何を意味するのか.「放射線管理区域(4万Bq/?)に数百万人が、普通に暮らす─という違法状態を直視すべき」の中で小出さんは言う.

表面汚染=60万Bq/m^2の基準は、年間被曝量に換算すると、概ね20ミリSv/年となります。これは、放射線業務従事者という特殊な仕事をする人だけに許した基準です。それを一般の人、赤ん坊や子どもにも許すという政策なのです。
民主党政権時代に、「20ミリSv/年までは我慢させる」という方針が打ち出された際、内閣府参与だった小佐古敏荘さんが、涙の辞任会見をしました。彼は私の論争相手で、あちこちで「被曝なんて怖くない」と言い歩いていた人です。
その小佐古さんが「自分の孫をそんな目にあわせるのは絶対いやです」と泣きながら訴えるくらいの被曝量なのです。放射能を取り扱う人間にとっても高い基準だし、子どもには決して許してはいけない基準です。そんなところに子どもたちを帰すなど、到底あり得ない政策です。

8月1日に公になった環境省の方針は,この到底あり得ない政策すら放棄するというのだ.本当なら,全国の過疎で校舎が残った学校などに寄宿舎を建て,福島の子供らを疎開させる.幼い子どもやその親もそれぞれ疎開させる.3年経った今頃は,放射線管理区域に子どもはいない,それぞれの疎開先での生活も地元になじんできた,となっていなければならなかった.それはたいへんなことだ.故郷が奪われる.家族が離される.しかしそれが東電核惨事の直視すべき現実なのだ.二度の原爆を経験し,核汚染のもたらす結果について事実から知っているはず日本において,その政府はこのような棄民政策としか言いようのない方針を出す.このような政治は一日も早く打倒されねばならない.
安倍政権だけではなく,いま世界中で民族主義が大きく形を見せている.これはしかし,かつて近代において帝国主義の植民地支配と闘った民族主義ではない.むしろ排外主義で固められた他民族憎悪の民族主義である.日本がそうであり,ウクライナがそうであり,EUにおける民族主義右派政党の増大でありる.中国もまた,社会主義をなげすてて以降,中華民族主義が大きくなり,その一方で少数民族はその文化や生活の形を破壊され続けている.このような民族主義が流行るのは,資本主義のゆきづまりを塗り隠すためである.大域的な金融資本は本来国境を越えるものであった.しかし,それが世界各地で多くの人の反撃に出会うや,それに対するために民族主義を煽る.安倍政権があれだけ民族主義をいいながら,経済では強欲な資本主義のためにTTPをすすめ,資本を規制していた諸制度を止め,金融資本の利益のために国際的な軍事行動を準備する.
現在の民族主義は,資本主義の最終的な自己矛盾である.必ず破綻する.問題はわれわれの理念,思想,そして行動である.資本がまき散らした偽りの普遍性に惑わされず,同時にまた,民族の生活の形やその文化を互いに尊重しつつ,人間としての本当の普遍の立場に立って,99%が手を結ぶ理念と思想を.固有性を尊重しあう場としての新たな普遍性,この形を具体化することこそ,いま歴史が求めていることである.人間原理を現実化するうえでの試行錯誤,それが今われわれが置かれた歴史のなかの位置である.歴史は厳格である.資本主義は終焉を迎えている.しかしまた,その後の世界のあり方について,われわれの形が姿を現すまで,混沌と混迷は続く.