首相の知らない「日米合同委員会」

今日は今年最後となる定例の関電前抗議行動であった.寒かったが,選挙を終えて再稼働の動きがはやまるなかで,そうはさせじと多くの人が集まっていた.100人ほどであっただろうか.実際,来年はいろいろと大変なことがありそうである.その一方で,この二年半,ここに来るようになって,ほんとうに多くのことを学んだ.机の前に坐るときと少し違うところから考える場であった.このような行動を企画し続けてきた人たちに心から感謝する.そんなことをいろいろ考えながら,みなと声をあわせて戻ってきた.
さてYahoo!ニュースに, 「日本はなぜ基地と原発を止められないのか」で話題の矢部宏治が鳩山友紀夫と“日本の真の支配者”を語った!が出た.【前編】 (週プレNEWS)【後編】 (週プレNEWS)である.何はともあれ,全文を読んでほしい.一読,まず驚いたのは,一国の総理が「日米合同委員会」を知らなかったと言うことだ.

鳩山 物事が自分の思いどおりに進まないのは、自分自身の力不足という程度にしか思っていませんでした。本来ならば協力してくれるはずの官僚の皆さんには、自分の提案を「米軍側との協議の結果」と言って、すべてはね返されてしまって。分厚い壁の存在は感じながらも「やっぱりアメリカはキツイんだなぁ」ぐらいにしか思っていなかった。その裏側、深淵の部分まで自分の考えは届いていなかったのです。
しかし、矢部さんのこの本はもっと深いところで米軍と官僚組織、さらには司法やメディアまでがすべてつながって一体となった姿を見事に解き明かしてくれて、いろんなことが腑(ふ)に落ちました。この本を読んで、目からうろこが何枚落ちたかわからないくらい落ちましたね。
矢部 在日米軍と日本のエリート官僚で組織された「日米合同委員会」の存在は、当時ご存じなかったということでしょうか?
鳩山 お恥ずかしい話ですが、わかりませんでした。日米で月に2度も、それも米軍と外務省や法務省財務省などのトップクラスの官僚たちが、政府の中の議論以上に密な議論をしていたとは! しかもその内容は基本的には表に出ない。

日本の官僚が,首相の知らないところでアメリカと定期的に会合を開く.日本の官僚とアメリカが,日本国家の上にある.これが帝国アメリカである.そしてまたこれは日本の高級官僚がいかにアメリカの悪代官であるか,それを如実に示している.これが日本の戦後の現実である.そしてこのような「日米合同委員会」の根拠は,日米安保条約にある.

矢部 結局、日米安保条約とは、米軍が「日本の基地」を使う権利ではなく、「日本全土」を基地として使う権利を定めたものなのです。旧安保条約の第1条で米軍にその権利が認められ、60年の安保条約で文言は変わっていますが、その権利は残されている。これを「全土基地方式」というのですが、これはなんとしても国際社会にアピールして変えていかないといけない。
鳩山 矢部さんの本だと、米軍がそんなことをできる根拠は、敗戦国である日本を今でも「敵国」と見なした、国連憲章の「敵国条項」があるから、という話でしたが。
矢部 そこの説明は少し複雑で、旧安保条約第1条には、そうしたメチャクチャな軍事利用のあり方は、日本側が望み、アメリカ側がそれに応えたものだということが書かれている。そうした戦後処理を日本が望んだ以上、日本の主権や国民の人権がいくら侵害されていても、国連は口を出せないというロジックになっているんです。一種の法的トリックと言ってもいい。

希望はある.このように国民に知られないようにしながら続けられてきたことが明るみに出ること自体,多くの人の努力によって,戦後体制がひび割れてきているということである.また,いまのような政治や経済はそれ自身のかかえる無理によっても崩れる.そのはじまりのときが今なのだ.

矢部 ですから、日本にちゃんとした政権が誕生して、国際社会で堂々と議論し、「全土基地方式はやめてくれ」と言ったら「それは敵国条項があるから無理だ」とは絶対ならないと思います。……。
鳩山 矢部さんのような方の努力もあって、私もようやく目隠しが外れて真実が見えてきたわけですが、問題はそこから先をどうするかです。やはり一部の人たちだけが目隠しを外すんじゃなくて、日本の国民の多くに触れられるPR戦術というか、日本の戦後の背後には何があるのかをきちんと解き明かす手段が必要だと思いますね。
それと、日米関係に関わっている米軍関係者を除けば、アメリカの議会や国民は日米合同委員会なるものがどういう役割を果たしてきたのか、それが今も日本の主権をさまざまな形で侵害している事実も知らないと思います。しかし、こうした状況はアメリカの国民から見ても「異常なこと」だと映るはずですから、われわれが海外、特にアメリカの議会や国民に対して「日本は今も事実上、米軍に占領されているけれど、本当にこれでいいのか?」と訴えることが重要です。
矢部 情報発信という意味では、今、ドイツなど多くの国が日本の原発汚染に対して「何を考えてるんだ!」って相当に怒っている。基地の問題だけだと「勝手にやっててくれ」となるかもしれないけれど、原発の問題はそうはいかない。全地球的な問題です。
あれだけ深刻な原発事故を起こした日本がなぜ、今再び原発推進への道を進もうとしているのか? その背景には「日米原子力協定」という、自国のエネルギー政策すらアメリカの同意なしには決められないという、客観的に見ても非常に歪(いびつ)な構造がある。それをうまく国際社会にアピールできたら、こうした日本の歪んだシステムに世界の光が当たる可能性はあります。
鳩山 そうですね、日本のメディアも完全に取り込まれてしまっているのであれば、基地の問題だけではなく、原発も併せて海外に訴えるほうが圧倒的に意義があると思います。ただし、そうした「外圧」に頼るだけでなく、結局はこの国の政治を変えない限り、そして多数派にならない限り、こうした流れは大きく変えられません。

辺野古に基地を作ろうとしているのは,アメリカであるよりは,既得権を守るために対米従属を続けたい日本の官僚たちなのだ.彼らから実権を取りもどすような政治の変革がなければならない.こういうブログは自分で考えるためでもあるので,まだまだいろいろ書き加えたい.しかしなによりこの対談を広く知ってほしいので,まず紹介した.