北山イワクラ巡り

 今日は,磐座学会西宮市北山イワクラツアーに参加してきた.12時15分に阪急甲陽園駅に集合した参加者は総勢40人を超える.磐座学会員でなくても参加できるとのことで,一般の参加者が24名強であった.地元や近隣からの参加者に,神奈川県や広島県からの参加者もまじっての一団である.われわれの世代が中心であるが皆さん元気である.予定を確認し,さっそくに歩きはじめる.
 駅から歩いて15分,夙川上流の銀水橋という県道に架かる橋まで行き,そこからは北山の中に入ってゆく.この北山には巨石がいくつもあり,それらがそれぞれに意味をもって古代から信仰されてきた.
 このようにな巨石信仰は古代ギリシアにもあり,というか,人類に共通した原初からの自然を畏れ敬う心の形であったのだろう.それぞれの岩の説明を聞きながら,また山道を行く.この日はそれほど暑くはなく風も吹くが,それでも汗をかきながら歩き続ける.
 途中には,地元のものが三つ池とよんでいる池もあり,そのまわりの雑木林もめぐる.このあたりは,子供が小さいころは,近くまで車で来て,少しばかりの山歩きもしてきたところである.しかしこのような巨石のいわれや,それが単独ではなく相互に結びついて信仰されてきたことなどは知らないままであった.
 こちらは,森の霊気にふれながら,そうだったのかとふりかえりふりかえり,考えながら歩いてゆく.
 右の岩は太陽石といわれる.はるかむこうに大阪湾から生駒山まで見渡すところにある.この岩はまた人面岩ともよばれる.ここを通ったときは裏からみるので,そうかと説明を聞くだけで通り過ぎたが,ぐるっと回って,この岩を表横側から見る位置まで来て驚いた.
 本当に人の顔をしてるのだ.自然の造作であるがなんということだ.これが下界をずっと見渡している.思わず手をあわす古代の人々の気持ちわかる.この山の麓近くに住んで35年ほどであるが,この岩のこの形は知らなかった.
 このような巨石をめぐり,それから北山を下りて越木岩神社にあつまる.この神社自体が巨大な岩をご神体にしている.地元の神社であり,毎年初参りにも来るところである.この神社に隣りあうところにも,三つの巨石があり,越木岩のご神体や北山の巨石群と一帯になって,一つの巨石群をつくってきた.
 ところがその三つが破壊されようとしている.これについては人間と土地,そして螢に書いた.また,巨石破壊を止めてもらいたいという署名活動に先日こちらも参加したところである.これについては磐座(いわくら)を守れに書いたところである.越木岩神社ブログにもあるが,週間SPA!(スパ)7月14日号(7月7日発売)このマンション開発計画が取り上げられている.ぜひ一読を.
 越木岩神社では宮司さんからいろいろとお話を聞かせていただいた.磐座学会が集めた署名の受け取りを,マンション建築会社は拒否している.市との関係,質問にも出ていたが神社本庁などとの関係等もお話しされていた.ここで岩を砕いたら,もう取り返しはつかない.こんなことをしていては,本当に日本というところはだめになる.巨石を信仰することで,自然を敬い恐れ,そして生活し生きてきた,この日本列島の先人の智慧を,孫子の代に伝えねばならない.私はそのように受けとった.
 その後みなは越木岩神社の裏手にあるご神体の巨岩に参り,説明を聞いた.私は,宮司さんに地元の自治会の動きなどをいろいろ聞かせていただき,これから出来ることはさせてくださいと話してきた.それから三々五々解散になったので,幾人かの人を甲陽園駅まで案内し戻ってきた.4時に終わる予定が戻ったのは5時半だった.
 三日続いていろいろ心の動く時間であった.締め切りの迫る原稿仕事や自治会の回覧板の準備や,そしていくつかの授業と,何かとすることの多い中で,こちらは病が治り,再び生きている不思議を実感しながらの時であった.