深まる秋と金曜行動

昨夜は10月になって3回目の金曜行動.もう10月も終わりだ.本当に時間の経つのが速い.これまでは基本的に毎月2回ここに集まってきたが,川内原発伊方原発の再稼働問題があり、この間の戦争法問題にはじまる反ファシズム運動の継続という課題もあり,隔週には続けてやろうということになった.こちらは色々かかえていた仕事や,その他のことが一段落し,何とか今日も関電前に参加でき,皆と声をあわせてきた.
いつもの彼は「元凶は明治維新」というプラカードをもってきていた.それはまったくその通りで,明治維新でつくられた近代日本の支配統治体制がゆき着くところ,それが福島の核惨事なのだが,参加者のどれだけがわかってくれただろう.それでも自分の考えを書いて主張することには賛成だ.
2年前の今頃は息苦しく,長い散歩もできなくなり始めていた.その年の11月中頃突発性器質化肺炎の診断で即5週間入院した.そのことを思い起こしながら,人間はこの世界に生まれて,そのときどきの歴史のなかで,なし得ることを精一杯おこなって,次代に生を引きついでゆくものだなどと考え,ではいまなし得ることを精一杯やれているだろうか,と思ってしまう.
ステロイドが効いて退院できた身だけに,生かされて,それだけのことをし得ているのかという問いが起こってくる.一市民の立場から,ファシズムに対する共同の行動を呼びかけ,できることをするような場や動きを作り出すためにもう一働きできないか.反ファシズムの人民戦線のために,自分は何ができるだろうと考えている.それはまた,新しい人たちの新鮮で深い言葉に促されているともいえる.
夏から秋,戦争法案に反対して多くの若者が立ちあがった.多くの言葉が語られてきた.この1週間ほどでは,2人の言葉が心に深く残った.一人は SEALDsKANSAI の大澤茉実さん.「中身のない言葉では、もう私たちを動かすことはできない」SEALDs KANSAI・大澤茉実さん 憲法改正で「国民を縛ろう」とする安倍政権の退陣を求めスピーチ!である.
いま日本の教育は,小学校から大学まで本当に難しい状況にある.中学では不登校の生徒が増えている.学校では道徳だの何だのと教える.そのときハイハイと答えている強い子が授業が終われば弱い誰かをいじめる.教師も見えていない.それを見て,こんなとこにいられるかと思ったら学校にいく気がしなくなる.まともな子ほど不登校になる.それが今の学校だ.安倍政府は道徳を教科にとかいっているが,そうなればよけいに教室の欺瞞が大きくなり不登校の生徒が増えるだろう.そんな今の教育の中でつくられてきた自分を,大澤茉実さんは自分で越えている.その契機が,今夏の反ファシズムの行動であった.

 それは、そうやって社会を作っていくのが、これからを生きるすべての人に対する私の使命やと思っているからです。今、言葉を失い、打ちひしがれ、自分には力がないと思い込まされているすべての人に、過去の私に、その姿を見せなあかんと思っているからです。
 生きる希望を見せなあかんと思っているからです。私はもう、全部失ってしまった。国への信頼も、豊かさへの信頼も、自分らしく生きる場所も、搾り取られるように失ってしまった。… 私の手のなかには、ただ未来だけが残されています。私はもう、何も奪いたくないし、何も奪わせない。その理想を掲げ続けます。私の望む未来から、安倍政権の退陣を求めます。

彼らの叫びを,私は次のように聞いた.俺たちは資源ではない,兵器ではない,人間だ.実際,この半世紀,人間は経済のための資源とされてきた.その背景には,いわゆる新自由主義資本主義の浸透があった.まず思想として「人的資源」,それから「自己責任」,そして働くものの使い捨てと格差のかぎりない拡大である.
このような世のあり方を,そしてそこでつくられてきた自分を見直し,それを越えてゆく.実は私も,1970年の頃,あの時代の中で考え,自分がいかに世間の価値そのままに勉強してきたかをふりかえったことがある.つくづくそうだったと思ったことがある.そして少し道を変えたのだが,今夏,自分の生きる方向を少し動かした若者が大勢出てきた.これはまた各地の各運動に種を蒔いてゆく.表の政治における変化よりも,世の中の基盤部分でのこのような地殻変動が重要なのだ.
もう一人は火炎瓶のテツさん.2015/10/20 「戦争の動機も原因も経済。軍国主義と新自由主義は双子の関係なんです!」TPP反対の「公約詐欺」 ?自民党の本部前で火炎瓶テツ氏らが抗議集会で火炎瓶のテツさんはいう.

 安保法制・戦争法案に反対するのもいい。でも、戦争の動機も原因も経済。人種問題・民族問題なんて後からくっつけたものなんです。全て、国境を超えた資本主義の衝突が、戦争を生み出すんです。
 国際的な経済活動の後ろに、軍事力を置いておく。これがセオリーです。軍事力の裏付けがあるからこそ、アメリカ合衆国は、新自由主義の世界一の牙城であり得るんです。今回の安保法制・戦争法制も、動機は経済です。新しい新自由主義体制構築のために、軍事力を必要としてるんですよ。
 ならば新自由主義的体制に対して我々が異を唱え、それが実行不可能になれば、戦争法制も実行不可能なんです。そもそも実行する必要がないんです。ですから、安保法案反対ならば新自由主義的政策TPP・EPAFTA・RCEPこれらすべてに反対しましょうよ。双子の関係です、軍国主義新自由主義は。

まったくその通りである.そしてその資本主義が実は終焉を迎えている.もう拡大する余地はない.地球は有限である.資本主義は拡大し続けなければ存在しえない.よってそれは終焉を迎えざるを得ない.今日,唯一拡大しうる分野は兵器産業である.強欲資本主義は戦争で儲けるしかなく,紛争をあおりファシズムに走る.現代世界の紛争はこのファシズムが作りだしたものである.こうして崩壊する帝国は世界に惨禍をもたらす.今日人類が直面する最も困難な問題,それは実はアメリカ問題なのである.
現在は,資本が人間を資源として使う段階から人間が経済を方法とする段階への,転換という時代である.この認識を打ち立てよ.そしてやつらを通すな.新たな,ものの循環する尊厳ある人の世を,理念をもって生みだそう.当面するわれわれの理念,それは次のようにまとめられるのではないだろうか.
天賦人権・人格互敬/人間平等・人民協和/万物共生・原発廃炉専守防衛戦争放棄