西宮十日えびす

今日は朝から3時頃まで神戸で授業.それから西宮に戻り十日えびすの西宮神社に参ってきた.休日の十日えびすなので,人の出の多いこと.阪神電車西宮駅から人混みである.沿道を露店が並び,多くの人が車道を埋める.境内の混雑がすごいので,交通整理.10分ほどたちどまり、そして30メートルほど歩いてまた止まる。これを何回繰り返しただろう.並びはじめて半時間以上してようやく境内に入る.それからまたゆっくり進んで,本殿に参ってきた.
ときどき機会があればこのえびす神社に参る.2012年1月9日2013年1月10日の記録がここにある.14年と15年は病み上がりということでいけていなかった.このあたりは40年前,はじめて西宮市民になって住みはじめたところ.20年前の地震の後,ずいぶん街も変わったが,しかし平安時代から続く西国街道沿いの街は,このように今も息づいている.
境内ではいろいろ縁起物を売っている.現世利益の神社であるが,それだけに多くの人を集めている.境内にも露店が並ぶ.串焼き,もつ鍋,アユの塩焼き,焼きそば,ソーセージに卵焼き.鶏皮の餃子.奥で酒を飲ませるところなどもあり,ここで夕飯を食べてゆく人も多いのだろう.こちらは今日は小太郎が一人で待っているので,参拝の後は急いで戻る.
このえびすの神は,西表島で写真で見たみるく神とどこか似ている.先島諸島に伝わるみるく神は,数百年前,越南から伝わったといわれている.みるくとは弥勒である.広隆寺弥勒菩薩はやせている.これは北方の黄河文明から伝わったのだろう.本州にはすでにこの弥勒があり,それで,南方のみろくが,このようにえびす神の形となって列島に伝わったのではないか.あるいは七福神のほてい様がこの南方の神かも知れない.えびす神は七福神のなかでは唯一日本の神といわれているので,みるく神とはゆらいは違うかも知れない
えびす信仰は,いずれにせよ海の神である.海の神はおしなべて太っている.日本列島は,縄文の時代,揚子江文明と関わりの深い弥生の時代,そしてそこにやってきた北方黄河文明の支配層と,いくえにも折り重なっているが,先島諸島のみるく神,そして日本列島弧のえびす神,いすれもが南方の海の神である.ここ西宮神社はいまは国道43号線に面しているが,江戸時代までは海岸沿いにあった.瀬戸内海を行きかう人々を見守ってきた.そのように考えると,このようなえびすの神への人々の参拝は,深い遠い記憶に裏づけられているのかも知れない.
このような日常は,しかしいまファシズムに絡めとられようとしている.この人々のどれだけが戦争法に反対するのか.自民党ののぼりだけが沿道に出ていた.ここは「日本を本道へ 堂々の国へ」と書くやまだ賢司衆議院議員の地元でもある.彼の顔は見ていても気持ちが悪いが,ポスターはあちこちにはられている.そして現在の西宮市長の政治傾向は維新と同じである.その街の十日えびすである.こちらは数の問題ではなく,原則を守ってゆくかどうかの問題だと考えるが,それでも問題は複雑だ.などなど考えながら戻ってきた.明日は休み.明後日からいろいろ忙しくなる.