今夏の参議院選挙に対する生長の家の方針

生長の家が出した今夏の参議院選挙に対する生長の家の方針を読んで驚いた.さらに今夏の参議院選挙に対する生長の家の方針(その2)が追加された.いずれも実際に読んでみてほしい.

当教団は、安倍晋三首相の政治姿勢に対して明確な「反対」の意思を表明するために、「与党とその候補者を支持しない」ことを6月8日、本部の方針として決定し、全国の会員・信徒に周知することにしました。その理由は、安倍政権は民主政治の根幹をなす立憲主義を軽視し、福島第一原発事故の惨禍を省みずに原発再稼働を強行し、海外に向かっては緊張を高め、原発の技術輸出に注力するなど、私たちの信仰や信念と相容れない政策や政治運営を行ってきたからです。
憲法改正を急ぐ「おおさか維新の会」、および安保関連法案に賛成した政党(自民党公明党日本のこころを大切にする党、日本を元気にする会、新党改革)とその候補者を支持しないことを表明します。

とある.これは現総裁である谷口雅宣氏のブログ唐松模様6月10日でも明言されている.また立正佼成会もこの生長の家の方針に賛意を表明している.現内閣の閣僚の過半数を占めるいわゆる日本会議には,生長の家からの者が少なくない.というかその中核をなしている.それについては『日本会議の研究』等をみてほしい.日本会議内の元生長の家信者たちについて「生長の家方針」では次のように明確に述べている.

当教団では、元生長の家信者たちが、冷戦後の現代でも、冷戦時代に創始者によって説かれ、すでに歴史的役割を終わった主張に固執して、同書(『日本会議の研究』のこと)にあるような隠密的活動をおこなっていることに対し、誠に慚愧に耐えない思いを抱くものです。

生長の家については個人的に思うところが多い.というのは,私の故郷である京都東南の宇治の地に生長の家別格本山があるからだ.その歴史などは「歴史」の項に詳しい.別格本山のサイトの表紙の写真にある山と街の境に小学校がある.小学校の裏山の竹藪を通り抜け南に歩き,途中で左に折れて宇治川に出る山道を歩いて行くとこの別格本山の建物がある.今の大きな道場は小学校6年生の頃に出来たように思うが,その前からここにいくつかの建物があった.山懐にありまた宇治川にもすぐのところで,これらの建物は身近であった.
70年前後の学園闘争の頃,民族派学生運動を担ったのが成長の家の学生で,また当時から生長の家自民党の強固な支持母体であった.それで私は,生長の家は結局あんな右翼宗教だというふうに考えてきた.私は,山本宣治の墓のことも書いているが,生長の家のこの別格本山は,山宣の実家の宇治花屋敷にも近く,山宣の宇治に何でこんな右翼の宗教団体がいるのだ! と思ってきた.
近年,生長の家自民党系の組織に出てこないことは少し知っていたが,この「方針」は知らなかった.また,生長の家脱原発を明確にしていることも知らなかった.万物共生・原発廃炉という私の主張に近いものである.宇治川の流れが彼らを変えたのかも知れない.また,もういちど『生命の実相』という生長の家の基本書も学ぶところがあるかも知れない.『生命の実装』を読んで脱原発,など,この本をなんども読んだという極右おばさんの稲田朋美など思いもよらないことだろう.日本語のことわりの中からそのいのちの形を今日に受けつぐように語り出すという私自身の人生の課題を,もう一歩前に進めるためにも学ばねばならない.
このような宗教団体の態度表明自体,これもまた時代が大きく転換していることの現れだ.旧来の右や左ではない,別の対立軸が浮かびあがってきている.一言でいえば経済第一か人間第一かである.これまでここは詳しくいわなかったが,この人間は,近代主義的人間ではない.万物と共生する人間である.ここをもっと深めなければならない.歴史は大きく動き,一人一人の生き方が問われる時代であることを改めて確認する次第である.