9・11の「憲法フェス大阪」

安倍政権は,解釈改憲では追っつかないと,憲法そのものを換えようとしている.この流れに対抗して,何よりまず,憲法とは何であり,現憲法がどのように変わるのか,自民党改憲草案を読みこなそうという集会「憲法フェス大阪」がその9月11日に梅田北,前から若者たちの集会所になっていたヨドバシカメラ向かいの広場でであり,3時から5時までこちらは夫婦二人で出かけて聞いてきた.三宅洋平が主宰で山本太郎が弁士という集会である.音楽はこの歳ではよくわからないが,集会が始まってしばらくしてから三十分は音が響く.
三宅洋平の行動には賛否あるだろうが,この日二人が語っていたことは至極もっともであり,それをこのような形で若い人らに訴えることは意味がある.実際,小さい子供をかかえた若い家族の参加が多く,彼らがこの先の世に大きな不安を持ち,三宅洋平のスタイルに動かされてやってきていたのは,まちがいない.
その昨日,その9月11日は,「2001年9月11日の米同時多発テロ」といわれるあの事件から15年である.この事件の経過については議論がある.10年目のとき「9・11から10年」にも書いたが,多くの謎を含む事件であった.しかしいずれにせよこれを契機に,アメリカは帝国主義の最後の段階としてのファシズムに陥ってゆく.ナチスが国会議事堂放火事件を自ら引きおこし,それを契機に全権力をヒトラーに集中したのとおなじ意味をもった.
そして今日,アメリカ下院はサウジアラビア政府など外国政府に損害賠償を求める訴訟提起を可能にする法案を可決するところまできている.「サウジ法案可決 オバマ政権は拒否権発動へ」.ヒラリーが大統領になれば,この法案を成立させるだろう.この15年,アメリカの力は崩壊の一途であった.ついにはサウジアラビアアメリカから離れはじめている.これに対抗するべく下院で成立した法案は,しかしいっそうサウジのアメリカ離れを加速するだろう.実際,サウジアラビアを代表してG20に参加するサルマン副皇太子は,その途上日本にもやってきたが,出国前にサウジの有力紙アルワタンに対し,南シナ海問題で中国の立場を支持し,米国のやり方を批判したと報じられている.
9・11にはじまるファシズムの流れは,日本政府も飲み込み,昨年には戦争法が成立した.そして,現憲法を変えようという動きがさらに現実化してきている.今日の世界で,このアメリカに隷従し,それによって自らの権力を守ろうとしているのは,日本の支配層,それに操られる安倍政府くらいである.
米国の四大同盟国である「JIBS」,つまり日本,イスラエル,イギリス,サウジアラビアは,いずれもロシアとの関係を再構築しようとしている.日本以外の三国は中国が創設したAIIB(アジアインフラ投資銀行)に参加し,中国でのG20サミットの開催直前に、G20のメンバーであるカナダもAIIBへの加盟を表明,米同盟諸国の中でAIIB未加盟は、米国と日本だけとなっている.

こういう時代は,何ごとも原則から,理念をもって考えることである.昨年「深まる秋と金曜行動」で次のようにも書いたが,当面するわれわれの理念,それは次のようにまとめられるのではないだろうか.
天賦人権・人格互敬/人間平等・人民協和/万物共生・原発廃炉専守防衛戦争放棄
これはまさに,現憲法からわれわれが引きつぐべき理念である.