今年の3.11

 この数年間,毎年3月11日には大阪関西電力本社前の集会に参加してきた.しかし今年は,豊中市の市立文化芸術センター多目的室であった「瑞穂の国小学院」の国有地売却疑惑の真相究明を求める市民集」にいってきた.2時からというので1時半に行ったら整理券を配っていてもう86番.200人ほどの多目的室であったが,立ち見の人もいて,それでも防災上入れることの人数が限られ,多くの人に帰ってもらったとのこと.報道者も多く,顔見知りの人にも出会った.
 最初に,この問題を最初に手掛けた豊中の木村市議があいさつ.昨年の6月から,これはおかしいと取り組み,何度ものビラ配布をやり,瑞穂の国小学院問題を考える市民の会を立ち上げて,やってきたが,大手の新聞などはなかなか取りあげない.それで,提訴してようやくに朝日新聞が取りあげ,その余りの酷さにようやく国段階での問題になってきたとの報告があった.市会議員としてやるべきことをしてきただけという,謙虚な言葉に感心した.
  講演会の講師は『日本会議の研究』の著者である菅野完さん.はじめてじかに顔を見たのであるが,若い人である.いろいろなことを話しておられた.前半は,不透明な国有地売却,大阪の私学審議会の問題,森友学園の危うさについて問題を整理された.
 その上で後半,この問題の根底にある一つの問題が,現代日本人の多数を占める,いびつな女性観,いびつな子供観,いびつな人間観,そのような普通の大阪の「おっさん」(菅野さんの言葉)の考え方を一般化したのが森友学園問題であり,ここに日本の右傾化の本質がある,との指摘はよくわかった.
 なぜ森友学園でなければならないのか.「日本会議だから」だけでは解明にならない.日本のおっさん会議=日本会議とも言えるが,籠池は普通のおっさん.それになぜ便宜が図られたのか.日本会議の核の部分は昔からの活動家でそこは増えていないが,そのまわりは時流に乗って増減する.いま日本では「親学(おやがく)」といわれる教育運動がある.(その内容は<「親学」とは何か>などを見ればよくわかる)これは日本会議と重なり,彼らは「親学」をてこに入り込めるところに入り込もうとする.日本会議は,偉大なる三流の集まりであるが,それが森友学園のような所を見つけて,入り込み広げてゆく.籠池のおっさんはその流行にのった.のる素地はあった,
 そのようなことを話された.
 考えれば,これほど,国有財産を私物化し,政治を私物化したのは,近代日本でもかつてはなかった.安倍政権がやろろうとして来たことは,戦争による経済危機の打開である.これは裏を返せばそれだけ平和を破壊し,福祉を切り捨てることに他ならない.そうなれば当然国民が反発する.それを抑えるために,一方では共謀罪などの法的整備を進め,他方では,現代日本にはびこるいびつな人間観を土台に,森友学園のように,根本のところで戦争を賛美する基盤を作る.資本主義は限界に達し,もはや軍需産業しか利潤を上げることができない.それを可能にする土台作りとして,向こうがやってきたのは,国家のもとに人々を戦争に動員することを可能にする排外主義や狭隘な民族主義の一般化であり,そのためには国有財産をタダ同然で払い下げることもいとわない.ここに森友疑獄の意味がある.
 この問題は始まったばかりである.歴史の大きな転換点で,表に出てきた問題である.今日は豊中共産党の市会議員も来ていて,これからの取り組みなども話していた.主催者側の弁護士は土地の売却交渉に当たった財務省近畿財務局を,近く背任容疑で大阪地検に告発する方針を表明した.共同通信記事
 それにしても,大阪は北摂の地でこのように共産党と共同でやることになるとは思ってもいなかった.一昨年来の,安倍政治を許さない,戦争法反対の運動のなかで,市民の運動といわゆる共産党などの野党の運動とが手をつないできたが,それが,この森友疑獄でいちだんと深まったように思われる.
 集会のあとは,さらに豊中の北に移動して,いまはNPO学遊をやっている元豊中市会議員の一村さん会い,4月からはじめるネットスクールの打ち合わせをしてきた.これはもう少し具体化したら青空学園数学科の方でも知らせるが,私が自宅の部屋で,ネットでつながった高校生に授業をするということである.彼と協力して,新しい学びの場を作って、残せたらと考えている.一村さんは,学友の運営とこの森友問題の追及で,本当に生き生きとやっておられた.私も少しは元気をもらってきた次第である.