デカルトの円定理

nankai2009-04-09

『数学対話』に「デカルトの円定理と一般化」をあげた.春期講習中の計算をまとめたものだ.ヘロンの公式というものがあるが,あの面積公式を=0とおくと,平面上の三点が一直線上にあるための条件を,三点の相互の距離で表すものになる.その計算を行列式でやると,一般化できて,n+2 個の点が n+1 次元空間おかれているとき,それが n 次元空間上にあるための必要十分条件を点の間の相互距離で表した等式が得られる.球が相互に接しているとき,中心間の距離は半径の和や差で表されるから,n 次元空間にあって互いに接する n+2 個の球の半径の関係式が得られる.この方針でやったものだ.「反転と円環問題」とあわせて,和算の問題を今風に解くということだった.
それにしても日本の江戸時代の和算は大きい.西洋の数学がギリシアの精神そのものとして,ルネサンスの時代に見直され,近代形成の柱となったのとは異なり,和算が文明の柱となるものであったかどうかはわからない.江戸時代の数学は,一方で測量や暦法の基礎理論であり,同時にまた数学を楽しみ,その楽しみを算額として奉納するということで,数学それ自体が人な大切な営みとして理解されていた.このような人生を楽しむ余裕がかつてはあった.和算のあり方には,江戸時代の人間の生き方が典型的に現れている.
今朝の新聞を見ると,経済欄のコラムに「異形の国家」が載っていた.同じことを考えている人はいる.しかしいっこうに表立った議論にならない.若い人が自分たちの未来の問題として自分から真剣に考えることを願っている.写真の花は名前を知らない.下向きに赤い萼から花が咲く.年中咲いている野の花.