ζ(2l)の公式

ζ(2l)を関・ベルヌー数で表す公式を初等的に作れないのかとこの一週間いろいろ考えてみた.結果できた.関数論は使わず,母関数を用いて関・ベルヌーイ数とベルヌー関数の基本性質を証明する以外は,まったく初等的である.チェビシェフの多項式東工大90年問題のようにsinで用いると複雑になりすぎるので,cotの方で用いた.自然数lに対して,\zeta(2l)を関・ベルヌーイ数とすると、公式

\zeta(2l)=\frac{2^{2l-1}(-1)^{l-1}b_{2l}}{(2l)!}\pi^{2l}=\prod_{p}\frac{1}{1-\frac{1}{p^{2l}}}

が成り立つ.自然数の偶数乗の逆数の和,素数全体にわたる積が円周率とつながる.それも規則正しくであるから驚くべき公式だ.もちろんリーマンが切り拓いたようにゼータ関数を複素変数の関数として考えることで,この公式もずっと簡単に求まる.『解析概論』にも載っている.ただ,初等的にやることで,なじみやすくなるし,関数論的方法の威力もまたよく理解できる.
大きくとらえて,何かできそうだという予感で一週間考えた.逆算して0にならないといけないところを3乗和まで具体的に計算して確認した.しかしそのからくりがなかなか分からずいろいろ一般化して考えた.最後に B_{2l+1}(1/2)=0 が浮かびあがって出てきたのにはまったく驚いた.『高校数学の方法』の「例で考える」「一般化して考える」などの実践だった.『高校数学の方法』を入試問題以外で自分で用いたのは初めてであった.そこで書いていることは,このようなときにも活きることを確認することができた.
ということでこの問題ばかりに没頭した一週間であった.もう秋も終わり、冬である.
追伸:「ζ(2l)を関・ベルヌーイ数で表す」にまとめた.