添削終える

M3Wの添削が終り事務室に届けてきた.今年は本当にたくさん添削をしている.授業をしての添削なので,これは教える側へのフィードバックになっている.こんなところで間違えるのか,このように置くことができないのか,などなど教えられることが多い.1993年からこの仕事をしてきたわけだが,これで見るとずいぶん喋りっぱなしであったといわざるをえない.今年の夏期講習はこちらもいろいろ勉強になった.『高校数学の方法』もこのあたりをふまえて,もっとていねいに書かなければと思う.
高校のとき,いちばんの友人が定期テストの問題でとてもうまい解き方をした.出題した数学教師に「どうしてそれに気づいたのか」と聞かれ,「これこれで決まっているのだから,これだけで解けるはずだ」と言っているのを横で聞いて,「なるほどそんなふうに考えるのか」と思った.そのときの印象が強く,今でも忘れない.これをいまの高校生にも伝えたいと思ってきた.「なるほどそんなふうに考えるのか」というのは,考え方の内容以前に,考える方法がある,ということに気づくということだ.『高校数学の方法』では「方法を意識する」などいっているが,これを納得できるように伝えることは難しい.
この友人は同じ大学の同じ学部に進んだが,その後時代の波のなかで中退し,長く社会運動に携わっている.その生き方を尊重するし今も尊敬している.われわれの世代もそれなりに模索してきた.今の首相も官房長官もそういう世代なのだが,既成の存在に妥協を重ね,現実を動かすよりもそれに流されているように見える.そんな簡単ではない,という声も聞こえそうだが,やはり人間,筋は通さなければならない.
日本でも,韓国でも,これまでの覇権国であったアメリカに今後とも従属していこうという勢力と,いやそこから自立し多極化の時代における新しい国家のあり方を生みだそうという勢力のせめぎ合いである.当分それは続く.民主党の内部抗争もその一環である.われわれはそのあたりをしっかりとふまえ,世界史の趨勢は多極化した世界とその下での共生しかないことをおさえ,それぞれの生き方を模索しつつ,できることはしていきたいものだ.
追伸:26日に民主党の小沢氏が党首選に出ると報じられた.その決断を支持する.これは勝ち負けの問題ではない.官僚に取り込まれた菅内閣に対して民主党の初心に立ちかえるということであり,まさに筋を通すという問題なのだ.こういうときは中央突破しかないし,それがまた道をきりひらく.