重心座標

重心座標』を上げた.これで岩田至康編の『幾何学大辞典第1巻』に載っているパスカルの定理の証明はすべて後を追い青空学園に載せることが出来た.今回も入り口は入試問題から材料をとった.
このような線型幾何の分野が高校数学の中でますます量的にも質的にも減ってゆくのはまったく残念なことだ.重心座標から三角形幾何は,十九世紀,実に豊かなものを生みだしたが,二十世紀なって忘れ去れれてきた.岩波の『数学辞典』も手元の増訂版までは「三角形幾何」の項があったが,第2版以降なくなった.しかし,教育的材料としても優れているし,もう少し余裕をもってこういう分野も後世に伝えてゆくことが大切だと思う.
追伸:さてこの間の民主党党首選挙の討論で,菅首相は自分の活動の原点がロッキード事件だったということ言っていた.彼はは「金にきれいな自分」を訴えるためにこう言ったのだろうが,ロッキード事件の本質を知れば,菅首相の言葉は「今後ともアメリカに隷属する首相であり続ける」といっているのに等しい.ロッキード事件の本質については,たとえば,茂木健一郎 クオリア日記などじっくり読んでみてほしい.茂木先生はもっと軽い売れっ子の人だという印象であったが,ちがう,よく考えておられる.また,ゲンダイ的考察日記 私は小沢一郎を支持する(1)〜森永卓郎もその通りだ.このように今まで余り立場をはっきりさせなかった人が声をあげはじめている.
また私の資料集の中に次のようなものもあった.これも参考になる.

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2006年5月26日までに解禁された米公文書によれば、ニクソン米大統領の中国訪問など70年代の米外交政策を主導したキッシンジャー大統領補佐官(後に国務長官)が72年夏、田中角栄首相が訪中して日中国交正常化を図る計画を知り「ジャップ(日本人への蔑称(べっしょう))」との表現を使って日本を「最悪の裏切り者」と非難していた。
キッシンジャー氏の懐疑的な対日観は解禁済みの公文書から既に明らかになっているが、戦略性の高い外交案件をめぐり、同氏が日本に露骨な敵がい心を抱いていたことを明確に伝えている。日米繊維交渉などで険悪化した当時の両国関係を反映しており、70年代の日米関係史をひもとく重要資料といえる。
文書はシンクタンク「国家安全保障公文書館」が国立公文書館から入手。26日の公表前に共同通信に閲覧を認めた。
ハワイで日米首脳会談が行われた72年8月31日付の部内協議メモ(極秘)によると、キッシンジャー氏は部内協議の冒頭で「あらゆる裏切り者の中でも、ジャップが最悪だ」と発言した。
続けて、中国との国交正常化を伝えてきた日本の外交方針を「品のない拙速さ」と批判し、日中共同声明調印のために田中首相が中国の建国記念日に合わせ訪中する計画を非難。首相訪中に関する日本からの高官協議の申し入れを拒否したという。
またフォード大統領訪日を直前に控えた74年11月12日付の国務省会議録(秘密)によると、国務長官も兼務していた同氏は省内会議で田中首相について「日本の標準に照らしてみてもうそつきだ」と言明した。

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田中角栄アメリカの怒りを買い,そして失脚したのだ.この田中裁判を一回も欠かすことなく傍聴したのは小沢候補ただひとりであった.これは事実である.
今は本当に現代のローマ帝国アメリカが凋落してゆくときなのだと思う.この客観的な事実を背景に,目前の政治闘争が生まれている.このなかで一人一人の生き方を考えてゆかねばならない.そういう時代になってきた.
上の資料集は次の記事をまとめたもの.

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2006年5月26日【ワシントン26日共同】解禁された米公文書の要旨は次の通り。
 ▽1972年8月31日のバンカー駐南ベトナム大使とキッシンジャー大統領補佐官の部内協議メモ(極秘)
 一、あらゆる裏切り者の中でもジャップは最悪だ。
 一、中国との関係正常化を品のない拙速さで進めるだけでなく、中国の建国記念日に訪中したがっている。
 一、昨日、日本側はこの件で鶴見(清彦)外務審議官が私と打ち合わせをしたいと面会を申し入れてきた。ロジャーズ国務長官にも同様の申し入れをしてきた。長官らがどう対応したかは知らないが、私は審議官には会わない。

 ▽74年11月12日付の国務省会議録(秘密)
 一、ハビブ国務次官補(東アジア・太平洋担当) 日本の内閣は厳しい状況だ。フォード大統領訪日後に、田中(角栄)首相は辞任するだろう。
 一、キッシンジャー国務長官 大統領訪日で何を達成するのか。
 一、次官補 訪日自体が一つの目標達成だ。大きなインパクトがある。訪問を取りやめたら、政治的に大きな影響が出る。
 一、国務長官 田中(首相)にそれほど関心があるわけではない。
 一、次官補 彼が辞めても涙を流すことはない。彼は退屈な首相だった。
 一、国務長官 日本の標準に照らしてみてもうそつきだ。