「終わりの始まり」は悲観か希望か

nankai2010-09-14

 名護市議会選挙で辺野古移設反対派が過半数を占めたことに対し,『「政府高官」は「終わりの始まりだ」と悲観論を述べた』と報じられた.防衛省の幹部であろうが,ここに日本政府と官僚機構の現在がある.何が悲観論か.われわれにとって名護市議選挙の結果は,古い戦後日本とアメリカ従属の終わりの始まりであり,まったく新しい時代の夜明けであり,希望である.
 日本は沖縄から覚醒する,とは言い古されたことであるが,まさにそのように進んでいくだろう.沖縄から米軍基地を撤去すれば経済活動は今の2倍になるという試算もある.沖縄は米軍基地を撤去し,その後に港湾や空港施設を整備し,東アジア交易の拠点として,末永い繁栄を築くしかない.
 今回の民主党党首選挙の結果,対米従属の菅政権が続くことになった.これは彼我の力関係が今そういう段階にあるということだ.アメリカがいちばんほっとしている.郵便貯金三〇〇兆円をアメリカに引き込んで経済を立て直そうというのがアメリカの戦略である.
 小沢政権ができて対米従属を断ちきることを期待した人も多かっただろうが,菅政権は権力を持ち背後にアメリカがいる.簡単ではない.このような「敗北」はこれまでもたびたびあったし,これからもまたあるだろう.どうか意気軒昂にこれからもやってもらいたい.
 このとき民主党の中でこころざしあるものは,どうか街頭に出て,大衆運動の先頭にも立ってほしい.東京・大阪・札幌の街頭演説での小沢コールは嘘ではない.辺野古の力は,あそこで座り込みを続けている人々の持続力が基盤である.どのみち議会の中でものことが決することはない.
 アメリカ帝国主義は現代のローマ帝国であり,早晩その衰退はより現実のものになる.だがその過程で,アメリカはファシズムか否かの対立の厳しい時代を経るだろう.そのときファシズムと闘う基盤は,議会の中にはない.今われわれははそのような時代に生きている.
 ところで写真はコニャック,NAPOLEON COURVOISIER .こんな酒を自分で買うことはないが,もらい物だとまわってきた.夜半の今,これを炭酸で割って飲みながら書いている.後ろの織物は昨年ニースで買ったプロバンスのもの.オリーブが画かれている.なんとわれわれは,生き難くも面白い時代にいるのだろう.いささか酔いがまわったここらで筆をおくとしよう.