秋深まる

この十日ほどは,授業と問題作成の締め切りに終われ,他に何もできなかった.休養をとっておられた先生も復帰され,問題作成も一通り終わり,やっと今日東工大AOII番の2の解答が作れた.三角関数の値は求めていない.三角関数で表せば十分だと思う.1週間ほど前にできていたのだが,検算をして清書する時間がなかった.今日検算しながら書いてみると少し計算がちがっていた.最終的に数値計算し図の比率と一致することを確認したので,大きなまちがいはないだろう.
ようやくまた少しずつ射影幾何にもかかれそうだ.座標による構成が,公理を満たすこと.公理的幾何から線分計算が構成できること.そして射影変換と複比の意味,このあたりまで計画はできているのだが,実際にかいてゆくとその場その場で論を見直さなければならないところが出てくる.それでもこういう仕事を自分の生活の柱にしておくということはいいことだ.
秋深まると書いたが,今年の季節の移り変わりは差が大きくて,ゆっくり秋が深まるという感じではない.地球の大きな気候変動の中では今年のようなことは誤差のうちかも知れないし,あるいは人間活動が生みだした温暖化なのかも知れない.
オバマ大統領が韓国に来ている.先日の中間選挙で敗北し,アメリカ経済を何とかしないと再選が危ないということで,いろいろアメリカの売り込みをしている.しかしオバマアメリカ国民に向かっていわなければならないことは「アメリカはかつての超大国ではもはやない.同じ地球上の1つの国として,多くの国々と共存していかなければならない.アメリカンドリームとは他国の犠牲のうえに成り立っていたのだ.もうそれはありえない」ということなのだ.かつてのアメリカを忘れることができない人々がいわゆる茶会運動に走り,それが今回共和党の躍進を引き起こした.だが,茶会運動のめざす偉大なアメリカの復活はありえない.とすれば,この運動はどこに向かうか.新たなファシズムの芽をここに感じる.かつても,経済不安におびえる中間層が偉大なドイツ復興を叫ぶヒトラーを生みだした.同じことが起こらないとはかぎらない.
このようなアメリカ国内の反動は,経済不安からの活路を求めて,日本や韓国やそして中国から富を引き出し奪い取ろうとする.現在の日本の民主党政権はこれに内部から呼応するまさに売国政権である.郵政法案は今国会では成立しない.かつて小泉首相は,ブッシュの忠実な家来として,「郵政改革」の名のもと,郵政を解体し,300兆円といわれる日本金融資産をアメリカが奪い取る道筋をつけた.それを少しはもとに戻そうとするのが亀井氏らが主導した今回の郵政法案だった.それが棚晒しになる.
アメリカは今ドルを刷りまくっている.世界のあちこちでバブル経済を引き起こしている.しかし,これはいよいよドルの崩壊が近づいているということだ.ということは,日本がもっている膨大なアメリカ国債も紙切れになるということだ.それがわかっていながら,アメリカと心中する道をひた走っているのが今の日本である.しかしまた,歴史の試練としてこれは必要なことなのかも知れない.時代は厳しくなる.それだけ面白くもなる.G20といいAPECといい,会議は踊る,である.歴史はこんな会議の中で作られるのではない.