人と会う

nankai2011-02-08

 先週はいろいろ人に会った.
 2日には数理研クラブのマ・シーンさんが関西の旅に来られ,連絡をいただいて授業の前に会った.京都タワーに昇り,展望台の喫茶店でいろいろ話した.今はいくつかの大学の非常勤講師をしておられる.理論物理学ポスドクの研究者である.困難かも知れないが,物理学の基本部分を研究したいと言っておられたのが印象深い.私は,物理学の方法論や方法思想のように受けとめたが,違うかも知れない.御本『物理のたんきゅう』をいただいた.帰ってから読んで,物理学をそれを成立させている根拠から考え,初等的に記述しようとされていることに感銘を受けた.この本の記述方法はこちらにとってもいろいろ参考になる.彼は初等物理でいくつもの実験をし,それを動画サイトにあげておられる.これは面白い.
 5日には,もうすぐ八〇歳になるいとこに会いに京都山科まで行ってきた.私の母の長兄の子供という関係で,長く年賀状のやりとりだけだった.絵の職人で,服飾関係の仕事をしてきた人である.私の親の葬儀以来だから20年ぶりだ.去年の賀状に「十年余りかかった紺紙金泥描の胎蔵マンダラがやっと昨秋完成しました」とあり,今年こちらからの賀状に一度見せてほしいと書いたら,呼んでくれた.見せてもらい写真にも撮らせてもらった.昔から絵のうまい人だった.インドやスリランカの仏教遺跡を訪問した記録のDVDももらった.私も若いころに円空などの模写をしていたことがある.人間の生死,人生を思うとき,われわれはどこかで仏教に還る.写真はその曼荼羅.1.5メートル四方に金泥で細密に書かれている.驚くほど精密だ.曼荼羅のひとつひとつの意味はほんのかじったほどしかわからないが,できばえに圧倒される.
 来週には40年来の友人3人で食事をすることになっている.この歳になると一期一会ということが身にしみてわかる.出会いの時間を大切にしたい.