相互リンク

 青空学園をはじめてこの夏で12年である.長い時間が経過したように思う.その結果多くのサイトが青空学園をリンク集などで紹介してくれるようになった.一昨日,リンク切れなどを整理し,新たに2件追加した.リンクということでなくてブログで紹介しているところも追加した.最近ではこんな形での紹介もあった.やはり,高校時代の数学を,受験の方法にとどめず,学問として深めることは,それ自体面白く,また数学が日本のなかで根づくために必要なのだ.相互のリンクが80件,これはもう少しやりなさいという激励と受けとめなければならない.
 「高等学校数学科教育課程における日中韓比較研究」のような論文を読むと,この三国でも日本の高校数学がいちばん内容が薄い.中国や韓国の内容は,日本の1960年代の質とその後の現代化を加味したものになっている.もちろん,教育課程の問題と,その地で数学がどのように位置づけられているかという問題は別のことなので,これはあくまで一つの資料であるが.前にも書いたが,日本では70年代以降,人間を育てるのではなく,資源と見なして企業に役立つ人間を作る,という方向で教育がなされてきた.しかしそれは必ず教育自体を,そしてその社会を衰退させる.その結末が福島原発事故での企業人の無責任さ,無能力さだ.マニュアルに書いてないことが起こったとき,自分で考えることができない.
 高校生には,「教育制度に負けるな.勉強は自分でしよう」といいたい.簡単なことでよいので数学的現象を自分でつかみそれを探求するということが大切なのだ.数学という一定の抽象性のある分野で現象を把握することは,人間が育ててきた大切な力で,それがまた人を育てる.今の日本教育が,その力を次の世代に継いでゆけるものでないことが問題なのだ.とはいえ,やはり自分で一から考えている高校生はいるし,少しでも彼らの役立てればと考えている.