盛夏の候

nankai2011-07-29

盛夏の候,暑中お見舞い申し上げます.7月も終わろうとしている.もうハンミョウが現れた.少し時期が早いようにも思う.この半年,こんな短い期間にいろいろな激動があったときは,歴史的にもそんなに多くない.
1月のチュニジアジャスミン革命から2月エジプトタハリール広場の蜂起へ.これはまったく新しい時代が明けたことを知らせるのものであった.これを伝えたフリージャーナリストの阪口浩一さんは4月5日大阪府警釜ケ崎大弾圧で逮捕拘留され,一昨日保釈されたばかりである.ここにエジプトの革命と日本とのつながりが逆に浮き彫りになる.そうではないだろうか.
そして,3月11日,東北大震災と福島原発事故のはじまり.地震津波は自然のものである.それに対して人間がどのように生きるのか,それが震災の質を規定し,そのゆえに震災は文明のことである.そして原発災害は日本近代の文明とその政治の結果であり,それは近代西洋文明を受け入れた日本において回り回った果てに起こった問題である.これから100年かかる大事故となっている.われわれはこれをのりこえられるのか.これは日本の問題だけではなく,現代文明のまさに中核問題である.これに関して「国の原発対応に満身の怒りを表明します!私は法律を犯しています!」東京大学-児玉龍彦教授は必見である.この見解がなぜ今になって出てくるのか.
さらに欧州通貨ユーロの危機.IMF路線にもとづく政府の緊縮政策に対し,ギリシア,スペイン等で多くの若者や労働者が決起している.5月15日のスペインの若者決起から6月19日へと,反乱は続く.EU各政府のやっていることは金融資本や投機資本の被害を出来るだけ小さくするために,人々に犠牲を強いることばかりである.欧州の若者はこの欺瞞に気づき,立ち上がりはじめた.若者の言葉が最近の人民新聞で伝えられている.新しい息吹を感じとることが出来る.
そして現在もっとも急なことは,ドルの信頼が失われつつあることである.起こりうる一方の極にあるのはアメリカ国債債務不履行,いわゆるデフォルトである.民主,共和両党の対立とはいえ,それは現実をどのように糊塗するのかという問題に過ぎず,早晩ドルが紙切れになるのは必然である.すったもんだしながら秋口にはそこに至っているかも知れないという段階になっている.
すべてに共通するのは,戦後60年,世界を股にかけて食い物にし肥え太ってきた国際金融資本,とりわけアメリカのバクチ資本が最後の段階に至ってのたうち回る姿である.ここから立ちあがってどこに向かってわれわれは歩むのか?
それに関連して,USTREAM小沢一郎衆議院議員公開討論会および記者会見 1/2同2/2を見る.小沢一郎というのはその立場において信念のある人だと思う.そのなかで小沢氏は「当面日本の国にとって一番大事なことは福島原発の被害を何とか最小限に止めなければならないこと、国際金融危機アメリカ・ヨーロッパの金融財政破綻グローバリズムの激変、更には世界恐慌にいかに対処して国民の生活を守るかだ」という.討論に参加したウオルフレン氏も同じ主張だった.それを現実に行うことはものすごい政治力量とそれを支える背後の民衆の力がなければならない.それに依拠する政治家でなければならない.さらにその上でいえば,日本のこの経験を基礎に今後の世界のあり方について,思い切った提言を発信してもらいたい.
そしてそれは,まさにわれわれの課題でもある.大手メディアから独立した人民新聞自由報道協会のような下からのメディアに期待する.ちなみに大手の新聞が何も真実を伝えない中でこの人民新聞は,現地に足を運び取材し,ほんとうによくやっている.さらにもっと世界に発信できればよいのにと思う.それにしてもいろいろと暑い夏は続く.