京の街角にて

 働いている塾のあるビルの向かいの北側に昨年秋,ヨドバシカメラが来た.その場所はもともと近鉄百貨店があったところだ.さらにその前は1920年1月に創業した丸物百貨店があった.私にとって,戦後の貧しい時代に宇治駅から国鉄奈良線で京都駅に出て丸物百貨店に行くというのは,ずいぶん華やいだ記憶になる.母親の実家が国鉄京都駅から一駅の西大路駅から歩くところにあったので,丸物百貨店はときどき行くところで,京都の象徴だった.それが近鉄に買われ,それもまた手放されて関東のヨドバシカメラにうつったのだ.
 京都のヨドバシは,昨年秋の開店のときはずいぶんはやってていたが最近はそうでもない.大阪のヨドバシカメラがあいかわらず盛況であるのに京都のヨドバシはそれほどでもない.関東の企業が関西に来て京都,大阪,神戸の気質の違いに配慮して店を展開することが出来ず,どこかでうまくいっても他ではそうでもないと言うことはよくある.先日の橋本市長は大阪だからこそ当選した.京都ではまず難しい.とはいえ,ヨドバシが近鉄百貨店の建物を解体して歩道から整備したので写真のような界隈が出現した.京都の街中と少し異質で,それでいて妙に調和している.これを受け入れる京都の奥の深さとも言える.京都で授業があるときは早めに来て,行きかう人をながめながらここで仕事をすることにしてきた.WiMAXでネットもつながりなかなか便利である. 
 さて,沖縄防衛局長を更迭 「辺野古」評価書 不適切発言である.日本の官僚は差別発言や「禁止語」については徹底して教育されているはずだ.これがだめなことぐらいわかっている.ではなぜこの発言が出たのか.考えられるのは,第1は,にもかかわらず沖縄にかかわっては差別発言が出るという日本の官僚の総体としての差別構造である.あるいは第2は,田中聡沖縄防衛局長が官僚としてはまったくだめで,要するに本人が愚かだった.しかしさらに考えるべき第3は,あるいは今回の発言は意図的に、あえてしたのではないのか,ということである.あまりにもアメリカに従属した野田政権に対して、最近は右翼や任侠の諸君もTPP反対である.ここは政府とアメリカのすすめる沖縄政治に大打撃を与えるためにあえてあの発言をした.これもありうる.
 いずれであるかは,われわれにはわからない.いずれにしても,客観的には同じことである.沖縄差別の上に進められてきた日本本国の対米従属沖縄政治は大打撃を受けた.沖縄の怒りは、もう覆水盆にかえらずの段階である.謝罪は辺野古移設中止,高江ヘリ基地建設中止,嘉手納基地撤去,これ以外にない.政府はこのまま傲慢な差別を続ければ,年を越して沖縄の怒りは爆発する.