初雪

昨日から新年の冬期講習.大阪で授業をして京都に向かう途中,横殴りの雪だった.この寒さこそ京都である.この寒さは,幼い頃から生活のなかで感じてきた寒さだ.思い出すのは,しもやけのかゆさと火鉢のぬくもり.寒いときほど,箪笥などの家具類が部屋の奥で凛としてあるのを感じていた.東北の寒さとも違う京都の底冷え.この底冷えには歴史がある.清少納言の昔から京都の人々が生活してきた寒さである.
滋賀から来た大阪行きの電車は雪で遅れている.湖北や湖東は大雪なのだ.去年までなら思いはここまでなのだが,今年はその湖北の向こうに敦賀や若狭の原発があることを思う.その敦賀の市長は原発推進の先頭に立ってきた.日本の都市と地方の格差とそれにつけいる関電,その旗持ちをしてきた街の政治家.現実に多くの人が関電で働いている.もっと地方,地方の豊かな仕事が興されなければならなかった.アメリカで若者に貧困を押しつけ軍隊に就職するしかないようにしむけてきたのと,日本で地方を疲弊させ原発しかないようにしてきたのと,同じ構造である.
しかしそれも破綻した.日本は核惨事.アメリカはイラク,アフガンでの敗北.もちろん日本でもういちど原発輸出を狙うものがいるように,アメリカはイランとの戦争を狙っている.しかしそれは彼らのさらに大きい敗北以外ありえない.確実に資本主義は終焉に向かっている.そのとき,日本の地方や京都の街で,寒さの中で凛として生きてきた生活が復興する新しい世を,目的意識をもって準備しなければならない.考えるべきことは多いのだ.
ここまで書いて電車は芦屋駅である.