射影幾何(続)

冬期講習が終わり時間がすこしできて,ポンスレの定理である.昔,『ポンスレの定理』で,88年名大,90年京大,90年東大の問題を,それぞれの場合のなかで一般化し,そこからいくつかの考察をすすめた.この計算をやったのは,96〜97年頃だった.74年に教員になってから95年頃までの20年間,ほとんど数学からは離れていた.途中で無性に数学が読みたくなって『初等整数論講義』を読みかえしたことはあったが.その後この業界に入って,せめて入試問題を材料にその背景を深め一般化しておこうと,いろいろ一から勉強しはじめた頃だった.この時期にいろいろ一般化しまた計算したことが青空学園の土台になっている.上記のページで証明した1/a+1/b=1のような条件が,実は一般的に定式化することができる.その頃はまったく知らなかった.
その後,青空学園でもデザルグの定理やパスカルの定理など射影幾何関連の話題が増えた.高校幾何も射影幾何を配景にもつものが多いのだ.それで二年前から,パスカルの読み直しからはじめて射影幾何を再構成している.これは19世紀にはなされていることなのだが,完成し終わったこととして近年の数学そのものの話題として取りあげられることも少なくなった.一方,射影幾何は高校段階の数学教育にとってはやはり重要なこと,むしろこれから重要なことなのだが,教育の現場にいて一から勉強するのは大変だ.私の立場でできるだけやって,できたところまでウエブ上に残しておこうと考えてきた.まだこちらの勉強ノートの段階で,何回か読み直し書き直しが必要だ.読んで下さってる人もいるので,最後までやりぬきたい.
さてそこで問題.「二つの二次曲線がある.その一方に内接し一方に外接する三角形が存在するための必要十分条件を,それらの係数を用いて書け.」実は係数の行列式などで書ける.入試問題の場合に計算すれば同じ結果が出る.
これは『解析幾何学(円錐曲線)』(サーモン,小倉金之助訳,山海堂,1923)にあり,また『幾何学大辞典』第6巻の附録にある.ところが,サーモンの本は直感的によくわかるが論証は厳密でなく,大辞典の証明は概略だけで,これらをひとつひとつ間を埋めてやってゆくのはなかなか大変だ.上記問題の解のところまではできたので,PDFの方には入れておいた.これを少し一般的にしてポンスレの発見した曲線束に関する定理の,線型代数的証明を今やってるのだが,なかなか進まない.去年の9月10月もなかな進まないなかで,ようやく10月中頃からわかりはじめた.今回ももう少し粘るつもりである.そしてここまでやって,その上で楕円曲線からポンスレの定理を見る方に進む.という計画なのであるが,さていつまで頭が働くか,である.