センター試験考

センター試験の時期は終わった.もう二年前になるが私は当時の民主党政府に,センター試験事業仕分けの対象にするように意見を送った.「ハト耳.com」参照.その後,事業仕分けの対象にはなった.「センター試験も事業仕分けの対象になる」参照.しかし,もっぱら経済的な議論しかなされず,毎年50万人からあれだけの受験料を集める事業が廃止になることはなかった.経済的に言えばこんな優良事業はない.天下り先として,大学入試センターほど美味しいところはない.一旦は事業仕分けの話も出て,彼らも緊張したのだろうが,その後の民主党政権の為体(ていたらく)を見て安心し,気を抜いたのだろう.今年のセンター試験はミスの連続である.「受験生いったん門前払い、車で迎えに センター再試験」のような記事を読むと,まったく情けなくなる.受験生のことを本当に思っているのか.
天下り先栄えて民苦しむ,という日本のあちこちに見られる光景を,センター試験にも見るにつけ,これまで言ってきたことはまちがいではなかったと思う.センター試験がいかにマズイ制度であり,いかに高校での勉強をゆがめてきたかにについては,青空学園でいろいろと書いてきた.

  • それはセンター試験の無意味さと弊害を照らし出す.共通一次試験から30年間,このようなマーク式試験をやってきたが,このような試験がいかに弊害が大きいかがわかった以上,一日も早くこれを廃止すべきである.
  • センター試験の最大の弊害は,書くことを疎かにするところにある.この一文に触れた皆さんは,センター試験にいろんな意味みで負けることなく,書いて考えることを放棄せず,こつこつと,またせっせと書いて考えてほしい.

検索すればもっと出てくるので,関心のある人は読んでほしい.現実の高校生に言いたいことは,制度がいかに不合理なものであっても,それに負けるな,ということだ.
高校から大学の教育という点で言えば,センター試験,大学3回生からの就活強要,ポスドクなどの高学歴で定職無し問題,等々.戦後,文科省や産業界がしてきたことは高校・大学・大学院などで若者が落ちついてじっくり学び研究すぶ機会を奪う方向ばかりであった.このようにしてやってきた30年が,結局はその文明の衰退をもたらすことまで,彼ら官僚や企業は考えてはいない.
しかし,天下に大乱の兆しあり,である.若い人が,大学や社会のどこかに身をおき,生きぬきながら,そのうえで制度から自由に考え生き行動することを,あきらめないで追究してほしい.困難はある.あえては勧めない.でもやれば道はひらける.明治維新も,脱藩し既成の制度から自由になって行動したものたちの力が大きかった.いま再び,歴史はそういうところに来ている.