桃の花

いつも犬を連れて散歩する夙川上流の遊歩道沿いにある家の庭先から外に咲きでる桃の花.昨日の朝,これを撮した.毎年,春一番に花を咲かす.水仙,梅,黄梅はなんといっても二月の花.それに対して桃はやはり三月の花である.桃が咲いて春が来ていることを一気に実感する.それにしても見事である.
しかしこの花を見て心にうかぶ感慨が去年と今年で違う.日頃の世界がどんなに危うい均衡の上にあり,それが自然の力の前にはいつでも破れうることを思い知らされた後では,花の美しさもまた悲しみをともなう.日本国政府はそれでもまだ原発を再稼働させようとしている.
三月になって仕事部屋が和風になった.これまでほんの三畳ほどの板の間の部屋に机を置いていたのだが,そこを少し改造して,まんなかに二畳分の畳を入れた.そして坐り机である.西宮の山の方の材木と工芸の店へ行って原木を板にしたのを二万円で買って,磨いてもらった.それを机にした.
鴨長明の「方丈記」の方丈は四畳半である.あの時代も天変地異の続くときだった.長明の方丈はそれが庵のすべてだった.こちらは三畳ほどの部屋に二畳の畳.こうしてささやかな贅沢をさせてもらった.ここでやりかけのままおいてあることごとを一つ一つ考え仕上げながら,人とのつながりにおいてなし得ることは出かけていってしなければならない.仕事も頭の働くうちはする.かくして春の休みは終わり,17日からは連日の授業である.