オスプレイ配備

昨日,またすぐ消されそうな記事が出た.時事ドットコム沖縄、山口に協力要請へ=米、オスプレイ配備延期を拒否−森本防衛相である.記事の中で,<藤村修官房長官は28日午後、国民新党下地幹郎幹事長に対し「米国と何回も交渉したが、押し返せなかった。米国は安保条約上の権利だと主張した」と述べ、米側に通告の先送りを求めたものの、拒否されたことを明らかにした。>とある.アメリカが言っているのは次のことだ.日米安保条約では,核持込などの重要事項は事前協議の対象とされている.しかしオスプレイの配備は米軍の装備変更であり事前協議の対象ではない.
では,オスプレイとは何か.これについては田中宇さんの解説が詳しい.「在日米軍問題を再燃させるオスプレイ」である.一言でいえば、オスプレイは戦場には配備できない欠陥機であるが,アメリカの産軍複合体にとっては非常に儲けの多い機体であり,実際に使っているという実績をぜひ作りたいのであり,それで日本に配備しようとしている.オスプレイのプロペラは自動回転できない.このようなヘリは民間機であれば日本上空を飛ぶことができない.
それが,沖縄から岩国,富士山麓中国山地,奥羽山地で訓練飛行をしようとしている.住宅密集地の上も飛ぶ.いつ落ちるかわからない.オスプレイの配備に,アメリカは安保条約上の権利をもちだした.日米安保条約は条約であり,条約とはそれが国家の利益になるという判断で結ぶものだ.さらに国内法が優先する.危険で事故ばかり起こしているオスプレイの配備は,航空法を盾に配備を拒否することもできる.ところが,それに対して野田首相や藤村官房長官、森本防衛相は腰を据えた交渉をしようともしない.オスプレイの無理強いで日米安保そのものが危うくなってよいのかと正面から交渉をすれば,アメリカ政府もうごく.その交渉をする力は,野田政権にはまったくない.彼らは,日本国民の安全よりも米国海兵隊の要望を優先すると言っているのだ.実際のところ,アメリ海兵隊を沖縄にとどめているのは,アメリカの戦略の結果ではない.日本の支配層,旧体制が海兵隊を沖縄に引きとどめている.
樺美智子が殺されて52年の夏,日米安保は大きな節目に来ている.日米安保による駐留米軍の問題については「小沢民主党代表の秘書逮捕問題」でも触れたが,かつて小沢氏は「駐留なき安保」の立場から「第7艦隊で十分だ」と言っていた.これは何も彼の希望的な見解ではなく,実際アメリカ政府の中にそのように考える立場がある.基地はグアム島に集約し,機動的に展開する,ということだ.それに対して,アメリカ軍基地を日本に置き続けようとしてるのが,アメリカの産軍複合体であり在日米軍を後ろ盾にする日本の旧体制,外務官僚なのだ.小沢氏の新党ができれば,「消費増税反対,脱原発,反TTP」に加えて「駐留なき安保」を入れるべきだ.実際,これが日本の多数派の声である.
私自身は,いずれかの政府が解消を通告すれば1年後の解消される,とあるのにしたがって,十分な議論と準備を経て,安保条約は終わりにする,ということである.