金曜行動と衆院解散

昨夜も金曜行動である.結構寒い中,2〜300人がいつものように集まっている.互いに顔見知りになった人が幾人もいる.討論Bar Citizenの西岡さんが録画をとっておられる.現地の声が聞こえる.このような営みがこの日も全国各地で行われている.これは現代版の「ええじゃないか」であるし,フランス革命のときに女性たちが鍋やフライパンをもって貴族の館に押しかけ打ち鳴らしたのとも通じる.そういう変革期の大衆行動の一コマである.
この日の3時過ぎに衆議院が解散した.争点は、「脱原発を掲げた原発維持」か「原発廃炉へ進む脱原発」か,消費増税増税停止か,TPP参加か不参加か,である.NHKなどマスコミが必死に争点隠しをやっている.が,今は新しい情報手段を活用することができる.このような政府系御用マスコミの偏向報道に騙されないで判断する方法がある.また石原氏と橋下氏が野合するらしい.橋下氏への的確な批判を部落解放人権共闘会議/反差別統一戦線議長の松裏功三さんが語っている.参考になる.
これまで議会選挙というのは,基本的に利益で結びついた票と利権の取引関係であったし,また同時にマスコミを使った人気投票でもあった.かつての小泉のような,そして今回の橋下のように,人々が心に思っていることをたくみにすり替えて表現し,中味は弱肉強食の新自由主義の方向にもってゆく.こういう人気とりの政治家が票を集めてきた.その意味で議会選挙は衆愚政治でもあり,橋下の手も使い古されたものだ.
そして政治の実際は外から見えない所で,日本とアメリカの支配層の意志を官僚が実行するという形で行われてきた.前回の衆院選挙での民主党大勝利は,一時的にこのあり方に風穴を開けたように見えた.そのとき私は鳩山氏の政治哲学を読んで危惧を感じ,2009年8月に 「私の政治哲学」を読むを書いた.最後のところで

政治家の政治哲学には,世界観とともに実践論がなければならない.どのように政策を実行していくのか,そこには基本的な人間社会のつかみ方がなければならない.鳩山論文にはそれが足りない.現実に政権を担う民主党を襲うのは,インフル大流行,新たな段階の経済危機,自然災害,人間の生存の危機,である.このなかでどこまで民主党が鍛えられるのか,あるいはまた解体するのかである.

と結んだのであるが,結果はまさに「自然災害,人間の生存の危機」に直面しての解体であった.民主党政府になって,その後の政治の実際は,自民党時代以上に直接的な財務省などの官僚政治であった.
それに対する怒りは大きい.田中龍作さんが生活党の街宣を取材し”生活・街宣 有権者「民主党に裏切られた」「マスコミに騙された」”と報告しているが,人々のデモなどの直接行動を配景とせず選挙投票だけで生まれた先の民主党政権は,結局官僚に取り込まれた.同じことをくりかえすのか.人々の政治を見る目も,検察や裁判所を見る目も,マスコミのウソを見ぬく力も,この3年でずいぶん鍛えられた.政治家をぶれさせない力は,人々の行動の中にしかない.その意味で,この3年の人々の行動とその経験の積みあげこそが,時代を作り時代を変えてゆく原動力である.
しかし問題は簡単ではない.権力を握るものたちが,選挙告示に前後に例えば尖閣諸島で中国とあえて衝突し,国内の風向きをうんと排外主義にもってゆき,それをテレビ新聞を総動員し,石原・橋下らがあおるということも多いにありそうである.中国も新政権が出来て対外的に強く出なければならない.双方の思惑が一致して地域紛争が起こされるかも知れない.少なからぬ人々がそれに流されるだろう.もちろん中国市場をこれ以上失いたくない商売人は反対するが,それを押しきってことを起こすかも知れない.などなど,じっくりとこの動きを見て,投票も必ずしよう.