壮大な不公正の中で

追伸2:岩上さんの情報では「国民の生活が第一」党の比例区での略称は「生活」は有効であるが「生活党」は無効とのこと.それで以下に「生活党」と書いたのは「生活」に訂正.マスコミは「生活党」を使っているが,無効と知ってあえて使っているのなら!
追伸:小沢氏の無罪が確定した.もともと国策捜査の冤罪であった.その記者会見の様子が田中龍作ジャーナルにある.しかし冤罪作りに加担した御用マスコミは何も変わっていない.
前に「朝日新聞を止める」に書いたように,1年以上前に朝日新聞を止めた.それから1年まったく不自由はない.今朝久しぶりに朝日新聞を見た.というのは今日は年にいちどの健康診断.それで西宮の市民病院に行ってきた.そこの待合室に朝日新聞が置かれていた.久々に見る朝日新聞はそれは酷いものであった.1面は選挙の投票先のアンケート結果.自民20%,民主13%,維新云々…. その内容は推して知るべし.報道機関の世論調査はどのようにでも操作でき,しかもそれは公選法違反とはならない.2面は選挙情勢分析として民主,自公,維新のあれこれのみを書く.
ここにあるのは,第一に,選挙の争点を隠すことである.脱原発を掲げた原発維持」・消費増税・TPP参加,これが一方の側,民主・自公・維新の側の基本政策,他方の側が,生活党を中心にする国民連合,その基本政策が原発廃炉へ進む脱原発」・増税停止・TPP不参加,である.極めて明確であり,基本政策を巡って完全に二つに分かれている.これが今回選挙の争点である.選挙における選択の基礎資料としての争点,朝日新聞はこれを隠す.第二に,国民連合隠しである.一方の側の内輪の争いに過ぎない民主,自公,維新の対立をのみ記事にする.これはいわば,明治維新が近づいているときに幕府内部の主導権争いを面白おかしく伝えるようなものである.こうすることで,他方の陣営,具体的には生活党を中心とする国民連合,これを読者の目から遠ざけ,選択肢であることを忘れさせようとする.
争点が明確になれば脱原発連合に過半の票が集まる.それだけは避けたい.ここに朝日新聞の意図があり、原子力村の意図がある. 自民党の機関紙など各党派の新聞が自陣営のことを宣伝するのは一向にかまわないし,それは政治活動の自由の範囲である.しかし一党一派に偏らないことを立前とする全国紙が,争点隠しをやり,他方を意図的に取りあげない.一方の側に肩入れする,というか,朝日新聞自体がその一方の側にいるのだ.そしてなおかつこれが公立病院の待合室に置かれている.そこで何気なく朝日新聞を見る.こうして無意識への刷り込みが行われる.このようなことが全国的にあることはまちがいない.うちは朝日だけを置いたりせず各紙を置いています.そういうところもあるだろうし,公立の図書館ならそうするだろう.しかし今や全国紙はどこも同じである.日本の全国紙は,旧体制の政治宣伝機関である.エジプト革命のとき政府系御用新聞が批判された.あれと同じ旧体制御用新聞,これが全国紙の基本であり,大手テレビもまたそれと同じである.とすれば,これはまったくの不公平であり,壮大な不公正選挙ではないか.
しかしである.今は情報手段が,このような大手新聞やラジオテレビといった一方の側の内部から一方的に流されるものだけではない.小さなブログをはじめ個人が情報を発信し,それを共有することが出来るようになった.そしてともに行動する.全国的な脱原発金曜行動はもちろん,11月24日の「原発ゼロ社会実現シンポ」,11月25日の「ウソつき官房長官を退治しよう!江坂の集い」のような各地の取り組みもこのような行動である.小沢氏の二審も無罪であったが,これもまたこのような人々の行動の結果である.
考えれば,情報手段の発展は世の変革をもたらしてきた.印刷技術は,聖書を個人が読めるようにし,封建貴族と結びついたカトリック支配を打ち崩す宗教革命をもたらした.大部のビラ印刷も行われるようになり,フランス革命の頃まで,この紙媒体の展開が基礎技術であった.次は輪転機と鉄道である.大量印刷と鉄道輸送.新聞が全国に配られる.これがロシア革命の基礎技術であった.鉄道は人間も運んだ.活動家を全国に展開させ,必要なら中央に集まりまた各地に赴く.レーニンの秘密結社としての革命党は,この鉄道時代の情報戦における必要から生まれたものであった.中国革命も技術面から言えばまたこの範疇に入る.
そして現代である.アラブの春から現在の欧州の反緊縮闘争,アメリカの占拠運動,そして日本の原子力村=旧体制との闘い,それれは新自由主義資本主義の反人間性との戦いであるが,この基礎にある技術が,個人発信とその即時の共有を可能にする情報技術である.それをとりあえずそれをネット技術とよんでおくと,今回の衆院選挙は,古い新聞テレビ媒体の技術とこの新しいネット技術の闘いでもある.まだまだ工夫が必要だし,現在の力でもって脱原発派が議会の多数派となれるかどうかはまだ分からない.またたとえ多数派になってもそれで旧体制が打破されたわけでないことは,前の民主党勝利とその後の経験が教えている.また逆に旧体制側が多数派となっても,安部が早晩行き詰まることもまちがいない.今回の選挙の後,議会政治の混乱はいっそう大きくなる.
いずれにせよ今回の選挙を巡るいろんな取り組みは,今後のためにまったく貴重な経験である.そして歴史を省みれば,結局のところ,封建貴族はうち破られ,フランスの絶対王制=旧体制は革命され,ロシアのツアーもうち破られ,強固であった中国封建地主も一掃された.道は曲がりくねっているが,しかし,歴史は必ず到達すべき所に到達する.旧体制=原子力村に未来はない.