行く年来る年

 年末である.昨日まで5日間午前と午後2コマの授業をしてきた.それも終わった.昨日は,塾で教えた人で高校卒業からもう9年になる4人が大阪の教室に訪ねてきてくれた.授業の後,彼女らと行きつけの喫茶店で5時頃までワインやらコーヒーやら飲みながら話した.昨日の続きのように話ができて,しばらく会っていないとは思えなかった.働いていたり,司法修習生であったり,子供のいる人は司法試験にむけて勉強中であったり,それぞれの人生であった.
 それから金曜行動や先日のシンポなど一緒にやってきた3歳年上の彼といつもの居酒屋で2人だけの忘年会.彼は選挙のボランティアもしてきたので,今回の結果で落ちこんでいるのではないかと思っていたが,元気で,「今年のうちに『生活の党』になってくれて,すっきりした」といっていた.来年はもっとおもしろくなる,色々一緒にやっていこうと,いい気分で分かれた.その後,8時からは仕事仲間との忘年会.来年のいろいろな計画等も話しあった.
 こうして,今年の冬期講習年内最終日は,午後の3時頃から飲み続けであった.明けて今日は,一昨年の暮れに再会したS君のところへ行ってしめ縄を買った.卒業してもう30年になるはずだ.今年も元気にJR芦屋駅前向かいでしめ縄売りを家族でやっていた.忙しく元気にやっていた.彼とは年にいちどこうして会うだけであるが,卒業生やどこかで教えた人が,それぞれの人生を歩んでいるのを知るのは,嬉しいことである.
 この1年を振りかえると,まず第一に日本でも客観的な存在としての二つの立場が,明確になった.それは次の二つである.
立場一.生活を第一とし,富の再配分を行い,格差の是正と地方の再建をめざす.生存権,労働権の保障.対米自立.脱原発廃炉の実現.人間原理確立.消費税の増税停止.TPP不参加.
立場二.経済原理優先.富の偏在増大.アメリカへ従属しその利益を優先する.原発維持.消費税増税.インフレを起こし貨幣価値を下落させることで,賃金と年金を実質的に切り下げる.
 第二に言えることは,99%の国民は,事実において立場一と利害が一致するが,立場一の人々が連合し政治勢力として闘って歴史をきり拓くには,まだその主体の形成が十分ではない,ということだ.社会が少数の超金持ちと多数の貧しいものに分裂しはじめているのに,巨大企業や金持ちの意見を代弁する「専門家」や「評論家」のみがテレビ,新聞に出て,世論を誘導する.インフレがさもいいことのように言いふらす.そして相も変わらず小沢氏への非難,何か悪いことをしているという印象を植えつけようと,メディアが動員される.こうして投票行動では3割の人間が立場二の方に投票し,小選挙区制の手品で立場二の議員が議会のほとんどを占め,8割の国民が脱原発を求めているのに原発維持継続の党が多数となる.
 それをうち破るだけの連合した国民の力は,まだ形成されていない.小選挙区での脱原発候補の調整すら出来なかった.あれだけ多くの人がそれを望んでいたのに,日本共産党は結局,全選挙区に候補を立てた.もし本当に人々の運動の先頭に立つ覚悟のある政党であれば,自ら率先して候補者調整を行い,小選挙区には脱原発候補ひとりが立つようにする.これができていれば,選挙の結果はまったく違っていた可能性がある.日本共産党は口で言うことは立場一であるが,実際にやっていることは立場二を利するものである.旧日本未来の党もまたその主張を本当に受けとめてほしい層にまで浸透させることは出来なかった.分党しもう一度やり直すことはいいことであり,必要なことだ.
 第三に,しかし私は希望を失わない.歴史は,立場一の政治勢力が,どのような形であれ現実に姿を現し,その政策を実行することを,求めている.歴史が求めているということは,それ以外に現状からの活路はないということだ.そして,歴史においてそれしかないということは,どれだけ紆余曲折を経てもかならず現実に転化する.
 来年もまた,それぞれの場所でなすべきことをしながら,出来る行動を,動ける限りはやってゆきたい.青空学園サイトの方では,これまで書いた来たもののなかで,いくつも手を入れたいものが出てきた.「射影幾何」もそろそろ仕上げなければならない.日本語研究ももっと深めるべきところが見えてきた.倦まずたゆまず続けたい.
 どういう所か分からないが青空学園数学科を次のように紹介してくれている.「膨大」というのはこちらからいえば「塵も積もれば山となる」の典型でしかないが,「良質かつ膨大」という言葉は励みになる.追伸:同じ文章のあるブログがわかった.読書猿2012-10-13.紹介ありがとうございます.

高校数学の考え方を系統的にまとめた「高校数学の方法第7版」や高校数学とその地続きな周辺を探索し,大学初年級のあたりまで足を運ぶ「数学対話 第4期」、入学試験問題の良問を紹介した「問題研究」、別解を考えることで問題の理解も解決の力も飛躍させる「別解研究」、高校数学の土台部分を掘りさげ教育数学を準備する「数論初歩」「解析基礎」など、良質かつ膨大なコンテンツを提供する。

 最後になりましたが,今年「青空学園だより」や青空学園各サイトに足を運んでいただいた方々に心から感謝します.皆さん,よいお年をお迎えください.